論語 (岩波文庫 青202-1)

制作 : 金谷治訳注 
  • 岩波書店 (1999年11月16日発売)
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感想 : 202

古来、子罕篇の冒頭にある「子罕言利与命与仁」について、「子罕(まれ)に利と命と仁を言ふ」と訓ずるか、「子罕に利を言ふ、命と与(とも)にし仁と与にす」と訓ずるか解釈が定まらなかった。私としては、「与」は通常二者の並列を表すこと、孔子は利と命はともかく仁については多く語っていることから、むしろ「利については必ず命と仁とともに語った」という後者に分があると考えていた。しかし最近、「子罕言利与命倶仁」ではないかと思うようになった。すなわち、「子罕に利は命とともに仁とすと言ふ」と訓じ、利も命に従うならば仁であると稀に語ることがあったと解するのである。「与=倶」と看做してよいのかどうか課題はあるが、私案として提示しておきたい。いつまでも興味が尽きない書である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 東洋思想
感想投稿日 : 2016年9月3日
読了日 : 2016年9月2日
本棚登録日 : 2016年9月2日

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