日本のいちばん長い日 決定版 (文春文庫)

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レビュー : 160
著者 :
mtsrsさん  未設定  読み終わった 

1945年8月15日玉音放送までの24時間を一時間刻みでまるでドラマの24のように描く。登場人物が多くて職位で呼ばれることも多くボーッと読んでいると何が起こってるのかよくわからなくなるので注意が必要。
今の時代から見ると、なんでもっと早く戦争を終わらせられなかったのか、と思うけど、その答えの一部はここに描かれている。
始まってしまった戦争を終わらせるのは、そんな時代に生まれ教育を受けてきた人々の生き方を否定することであった。自分自身、その所属する組織、つまり社会が、日本という国を支えると自負する軍隊だった場合、戦争が終わるというのは完全に自分を否認することだった。東京で本土決戦を覚悟していた者たちにとっては特に、国土に攻め入られてもいないまま負けを認めるわけには行かなかった。

「南米の小国パラグアイは五年戦争で人口の八割を失うまで戦いました。フィンランドしかり、我々の敵国である中国もまたしかりであります。ひとり我が国は神州正気の民と自負しながら、本土決戦も行わず降伏せんとするのでは、あまりに打算的というほかはないと私は思うのです。このような中途半端で戦うことを止めるなど、玉砕し、特攻と散った英霊をあざむくこと、これより甚だしいものはないと考えます。閣下、これ以上、もう申しません。美しかるべき日本の精神を取り戻すためにわれわれは蹶起します。近衛師団がいまこそ中心となるべきなのです。閣下のご決意をお願いいたします」

15日午前0時から1時の間の井田中佐が森師団長に語ったこの言葉を正しい帝国軍人の言葉と解するか、あるいは現実の見えていない狂人の言葉ととるか、どちらも可能だろう。ただ、それを受け止める師団長(殺されてしまう)も、更に上の立場である阿南陸軍大臣も判断は「大御心に従う」という天皇任せのものであった。

日本的な、といえばそうかもしれないが、戦争をここで終わらせたのは若干44歳の昭和天皇のおそすぎたリーダーシップであった。もっと早くできたのでは、と言うことはできるのかもしれないが、それを恐れるだけの理由は何が8/15に起こっていたのかを知ると一定の想像ができるだろう。

レビュー投稿日
2019年2月17日
読了日
2019年2月17日
本棚登録日
2019年2月17日
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