進化とはなにか (講談社学術文庫)

  • 講談社 (1976年6月7日発売)
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5

講談社学術文庫 1

進化とはなにか
著:今西 錦司
紙版

本書を読むと、自分は、ダーウィンの進化論について、おざなりにしか接ししていなかったことが痛感される。
ダーウィンの正統派進化論に対して、今西流進化論を展開する反駁の書である

進化とはなにか、種生成発展を中心として、展開してくる、一連の問題を指す

進化論を理解するためには、種、突然変異、そして、自然淘汰を知る必要がある

ダーウィンの進化論は、ある個体に突然変異がおきて、それが、自然淘汰で生き残っていき、新しい種ができるというものである

今西氏は、優勢な突然変異が1つの個体ではなく、種全体に起こらなければその種は生き残れないと説く。
今西流進化論は、個体ではなく、種全体における突然変異と、自然淘汰論である
環境の変化が生じた場合は、1つ1つの個体ではなく、種全体に突然変異が起きなけれならない
そして、その種は、その突然変異を経て、次の種へと変異していると主張する

どうも、ダーウィンは、個体のみを対象としていって、集団である種というものを考慮していなかった節があるといっている

これが本論である

種を取り扱う分類学者として2つの立場がある
 ラムバー 似たようなものをあつめて1種類とする
 スプリッタ ちょっとでも、ちがうものを別種としてみなす

交配が可能なものが、種である、これをAとする
つぎに交配可能であるが1代雑種といって交配しても子供がうまれないものでてくる
つぎに、交配はできても、子どもができなくなる。
そして、ついに、交配ができなくなる。これはもう別種、Bである

同一種でも、親子での交配や、兄弟姉妹での交配などがあって、突然変異の機能は、おもったより早く種全体へ伝播していく
個体というのは、おもったよりもひじょうに多いのである

ダーウィンの突然変異だが、その変異体がなんらかの事故で失われることもあり、第一変異は劣勢である場合がおおく、わずかに残ることは難しい

1つの種がすみ分けをしていて、長い間には、相接しながら、独自に進化していく場合もあり、やがて交配もできなくなっていく

おなじ、ホモサピエンスでも、地域の違いなどで、文化の分化が生じていく。これを、生物学では、放散といっている

同じ種の中でも、当然個体間の差異がある。個体間の中には序列がある

人間とはなにか、それは二足歩行する猿である

進化というものは、目でみてもわからない。しかし、100万年以上かかって、人間の脳の容量は大きく変わっていく。そういう事から言えば、進化していると言える
生物は変わるのである。タイムスケールというということはを考慮に入れるならば、変わらないというのも正しいし、変わるというのも、正しい

進化と進歩とは違う、地球が進化をつづけて逆行しないのと同様、生物の進化もまた後にはもどらない

人類の進化において特徴的なことが3つある
 1 サル類に共通な四足歩行から、二足歩行にかわったこと
 2 頭が大きくなったこと
 3 歯が弱小化したこと
である

目次


正統派進化論への反逆
人間以前と人間以後
人類の進化
パラントロパスの行方
進化とはなにか
私の進化論の生いたち
解説
出所一覧

ISBN:9784061580015
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:220ページ
定価:820円(本体)
発行年月日:1976年06月30日第1刷発行
発行年月日:1990年05月25日第23刷発行

読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
カテゴリ: 自然科学
感想投稿日 : 2023年12月27日
本棚登録日 : 2023年12月24日

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