小説 始皇帝暗殺 (角川文庫)

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感想 : 10
5

 映画をきっかけに手にした原作本では、新鮮な読後感を得られた。
 映像ならではの深みのあるシーンもあれば、小説特有の魅力も別にある。
 ラスト、映画版の含みの多さよりも、寧ろ原作のここを推したい。
 それがあってこそ、この人物の哀愁が成立すると断言したい台詞が強烈。
   “先祖代々の願い、天下統一の宿念を忘れしか?”
 少年司礼が秦王に叫んだ言葉。
 幾度となく作中に出てきた言葉。
 王の貌(かお)を威厳溢れる鬼神に一変させた言葉。
 瞬間、胸に湧いた震えは忘れられない。
 孤高の皇帝の、哀しさと強さと怖さ。
 歴史と共に過ぎゆく人間の生の営みへの愁いという、歴史物の醍醐味が存分に味わえる一級品の物語。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(歴史物・時代物)
感想投稿日 : 2011年2月20日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年2月20日

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