政宗の遺言

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  • エイチアンドアイ (2018年7月30日発売)
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 時は寛永13年。
 江戸に幕府が開かれて33年、大坂の陣を経て、戦乱が終焉を迎えてからも20年以上が経過した、太平の世。
 最後の雄と呼ばれた戦国武将、伊達政宗の最晩年を描いた歴史小説。
 若くして南奥州を傘下に収め、 豊臣秀吉・徳川家康ら天下人に下りながらも、知略を駆使して渡り合い、伊達家を存続させて生き延びた男の、戦と政治に明け暮れた生涯を、語り部の老人が新参の小姓に語る形でもって振り返る。
 病身を押して江戸へ赴き、最後の参勤を果たす政宗の真意を巡り、周囲は戸惑い、幕府側の思惑が跋扈する。
 天下へ挑み、能役者の如き『荒ぶる大名』の面(おもて)を果敢に演じ抜き、紙一重の大芝居を打った政宗の意地を、愛惜をもって慕う小姓の叙述は、おそらくは著者の心情であり、読者の共感をも呼ぶものだろう。
 終盤は、敵味方が入り乱れる家中にあって、臨終に瀕した「最後の戦国武将」の胸中に飛来した真情が、ミステリ風味に明かされる。
 謎解きについては、三代将軍・家光との密談、小姓仲間の死など、細部では明快な解が提示されないが、傍証として薄らと想像させる裁量にある。
 政宗から父・輝宗への本音、母・義姫への慕情、実弟・小次郎の生存説を絡めての怒涛の畳み掛けは、胸に迫るものがある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(歴史物・時代物)
感想投稿日 : 2020年12月30日
読了日 : -
本棚登録日 : 2020年12月30日

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