ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム

制作 : タディ・ホール  カレン・ディロン  デイビッド・S・ダンカン 
  • ハーパーコリンズ・ジャパン (2017年8月1日発売)
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もっと早くに読んでおくべきだったビジネス書。あの「イノベーションのジレンマ」のクリステンセン教授がイノベーションを起こすための理論を展開。顧客の課題(片づけるべき仕事)にフォーカスした、マーケティングの本でもある。

破壊的イノベーションの理論はイノベーションに対する競争反応の理論であった。破壊的イノベーションの理論では答えられなかった、どんなふうにイノベーションを起こせばいいのかという問いに答える、イノベーションを成功に導くための理論が、ジョブ理論である。

顧客が特定の商品を買う因果関係を明らかにする。「どんなジョブを片づけたくて、そのプロダクトを雇用するのか」という本質的な質問で、顧客の Jobs to be done を見極め、それに対する解決策と、それに付随する体験を構築する。

豊富な事例・物語が、この理論に説得力を与える。

個人的には下記のエピソード・記述が心に残った。特に「データ分析」は方向づけには役立つが、客観的な現実ではないという点は忘れてはならない。

・サザンニューハンプシャー大学の画期的な通信教育
・マットレス購入の体験インタビュー:顧客のストーリーボード
・アメリカンガールドールと言う存在を初めて知ったこと(モノではなく体験を売っている)
・マネジャーは、顧客のジョブに関する苦闘のストーリーよりも、プロダクトや顧客のデータに左右されやすい。データは現実を抽象化したものでしかないのに。
・マネジャーはもっと多く売ろうという、スケールさせる気持ちが芽生える。プロダクトの種類を増やして、最初の成功をもたらしたジョブへのフォーカスを失う。
・グーグルの検索ワードは根拠のしっかりした妥当なデータセットに見えるが実際は違う。ある現象(この場合は検索)の演算と分析が可能だからと言って、データの権威が増すわけではなあい。方向づけには役立つが、客観的な現実かと問われれば、答えはノー。

各章の終わりにまとめがついているので、概論を掴んでから、本文の中の豊富な事例・ストーリーを読むのもあり。

残念ながら、電子版は索引から該当箇所に飛べない(索引として機能していない)。翻訳ももう少しこなれているといいのだが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: キンドル
感想投稿日 : 2018年10月8日
読了日 : 2018年6月21日
本棚登録日 : 2018年10月7日

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