青年のための読書クラブ

著者 :
  • 新潮社 (2007年6月1日発売)
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本棚登録 : 2437
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タイトルに「青年のための」とありますが青年なんて全く出てこない可憐孤高な女子校が舞台の連作5話です。高潔な名門女子校の中で異端の者たちばかりがひっそりと集まる読書クラブ。この読書クラブに伝わる秘密の部誌に記された物語を時系列ごとに追う形式で話は進みます。

各話がミステリーとしての面白さと、少女たち強烈なキャラクター、古典的な少女漫画の持つ雰囲気と滑稽さが相まって短編としても楽しめます。が、連作として読むと学園を中心に描かれる時代変遷やそれでも不偏の学園の芯の部分が見えてきて二度美味しい。

それにしても全体に漂う雰囲気は堪らないほど素敵。もともと、閉鎖的で高潔な女子校というものに惹かれます。女子だけ故に生まれる歪んだアイドル像、思春期に一時的に生まれる同性愛思考、異端のものに容赦しない排他。こういう舞台に、よくマッチした事件と文体です。

登場人物一人の名前をとっても惹かれます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 青春・家族
感想投稿日 : 2011年7月21日
読了日 : 2008年5月15日
本棚登録日 : 2008年5月15日

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