火車 (新潮文庫)

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本棚登録 : 23003
レビュー : 2319
著者 :
yumecoさん 日本作家ま行   読み終わった 

20年ぶりの再読。
1980年代後半から90年代にかけての懐かしい風景がよみがえってきた。まだ携帯電話が普及していない時代。人々のコミュニケーションの濃密さ、人間臭さに引き込まれていった。休職中の刑事、本間は、さほど仲のいいわけでもない従兄弟のため、私生活をなげうって失踪した「彼女」を探す。途中で知り合った保もまた、真相を突き止めたい強い思いから、本間に協力。さらに、本間の息子である智や、彼の面倒を見てくれる近所の夫妻、本間を助ける同僚の碇など、互いが互いのために動くのだ。(一体みんな、どこまでおせっかいなの?と言いたくなった。)

本書の中心は、第三者になりすます女性、多重債務の問題である。物語は一貫して「喬子」を追う。遠い昔読んだ時は、最後に彼女がどのように姿を現すかに焦点を当てていたと思う。

今回の読書では、作者、宮部みゆきさんの登場人物に向ける公平な眼差しに心が温かくなった。加害者、被害者の別なく、人間性に対して客観的、という意味である。

再読のきっかけは同タイトルの韓国映画だった。映画を観ても遠い昔に読んだ本書を思い出せず、もどかしかったからだ。結果的には、内容を忘れていたからこそ、映画も、その後に読んだ物語も両方楽しめたのだと思う。

あと20年もたてば本書の内容をかなり忘れているだろう。そのころ再読してみよう。時代の変遷をどのように感じることができるか、今から楽しみだ。

レビュー投稿日
2016年8月15日
読了日
2016年8月15日
本棚登録日
2016年8月15日
6
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