河明り・老妓抄―他一篇 (岩波文庫)

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著者 :
樹さん 文士危うきに近寄らず   読み終わった 


何だこの人は、
なんと豊穣な言葉かな。



本当は「鮨」を読みたかったんだけど、手に入らなくって仕方なくこれになった。
初かの子、
すげーな、
いや顔の話じゃなくてね。
この文章、言葉、
いや、形容と修飾。
ナンだろうか、美しいし絶妙な言葉の選び方や表現をしてくれるから、私のようなミシマ好きにはたまらんのだが、なんとも”くどいんだ”。
ここでこう表現するんだ、って笑った箇所が多々ある。



冷静な物語の運び、そして時に垣間見るその表現の美しさ。
だから、楽しみながら読み進められる。
進めるられるのだが、
途中ではたと気付く、
なんともいえない物足りなさ、
どうも、物語にパンチがないのだ。
3つ話が入っていたがどれも非常に物語自体は凡庸で、穏やか過ぎる。
話に奇抜な演出や、情景は別になくてもいい。
でもだ。
わかり易すぎる、暗示的ではなくて非常に直接的にこの人は自らの物語においての意図を伝えてくる。
もちろん受け取る、それはかの子をしての情熱であるのだからこちらは受け取らないわけにはいかない。
しかしながら、表現が巧みなわりにそのシンプルで直球な様に困ってしまった。
どうも芸がないようにこちらには思えてしまう。
いや、私がわがままなだけなのかもしれないが、




この三つの中では「老妓抄」が一番好きだったな、
最後の俳句ですべてを綺麗にまとめられているから、正直こちらは納得せざるえない感じもあるが、面白いよ。
なんだかんだと文句も垂れたが、この人の読みやすさ、そして絶妙な文は好きだ。
特に女性が描く女性であるからこその、冷静な観察に裏打ちされた女性に対する見解や表現などが非常によかった。
なんとなく、男の登場人物がどれも個性こそは準備されているがどこか凡庸で、霞んでいるような気がする。
女性達はみな非常にみずみずしい。


太郎の母、で終わらせるような人ではないよね。
俳句が非常にうまいので句集をいつか読んでみたい、な。


レビュー投稿日
2008年12月20日
読了日
2008年12月20日
本棚登録日
2008年12月20日
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