にんじん (角川文庫クラシックス)

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本棚登録 : 211
レビュー : 30
樹さん 洋才賢母   読み終わった 

にんじんについて思うことは様々だ。
ルナールの著書って非常に独特なのだ。
フランスの作家は概して文章に独特な冷めたところが垣間見える。
運が悪いと鼻にかけたような部分すら垣間見えることもあるのだが、ルナールのそれはなんというか独特、冷め切っている、いやむしろ異様に残虐な部分が垣間見える。
前に『博物誌』を読んで私が感じたのは、文学的でも詩的でもない不思議な世界観だった。でもだからといって女性受けしそうなほんわかとした空気を持っている訳でもない。諧謔にとんでいるといえるのかもしれない。
トゥーサンやギベールのそれだと、非常に近しいものを感じるが、ルナールはなんだか遠い。時代性のものか、と私は常にかたづけてしまっている。


本著『にんじん』はルナールの自伝的な作品で、幼い頃の日常を描いている。
こう聞くとなんだか、心温まるものを想像できるがそういったエピソードとしては非常に少ない。
意地悪の度を超している母親、ひねくれの枠を大幅に超えた残虐性を秘めた少年。
どちらかといえば、へこんだり気持ち悪くなったりする部分が多い。
なんとも、


それで巻末添付の文章を読んで思ったのは、この作品における解釈の違いだ。
視点の位置の違いによって、これを少年の自我の芽生えと自立の物語と取るか、単なる虐待の吐露と取るか。
正直それは読み手によって大きくかわるようだった。
絶対にこっちだ、なんていう断定を私は感じないが、どちらにしろ残虐性に関する素直さというかセンシティブな表現は直質的ではないものとしては秀逸だと思う。


結局やはりルナールってわからない作家だな、というのが私の感想。

レビュー投稿日
2013年7月3日
読了日
2013年7月3日
本棚登録日
2013年7月3日
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