ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

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本棚登録 : 4828
レビュー : 456
著者 :
樹さん 文士危うきに近寄らず   読み終わった 

とかとんとん、と先日書いてこの本を思い出した。
読んだことのある物も含まれているが、せっかくなので読んで見ようという気になったのだ。

作品を書いた時期の位置づけははっきりしないが、何となく話の傾向が似ているので晩年かなと思う。
酒と遊びで放蕩を繰り返すだめな旦那とそれに慎ましやかに尽くす妻、の構図である。
己を悪い奴だとわかっていながらも放蕩から手が引けず、周囲からも見放されていることも度々。そんな己を彼は嫌悪している。でも同時に、だからこそ己だけはと愛してやってもいる。だからこそそんなどうしようもない己をけなげに追いかける妻に愛情を見せる場面もある。その描写がまるで近代の漫画であるかのような控えめかつ非常に魅力的な様子で描かれている。


太宰が好きな男性というのは太宰のこういった部分に特に共感性を抱くのだろうと思った。
どんなにだめな自分であっても受け入れて愛してくれる人にすがりたい。
太宰自身が抱いていた物とはそう言った物とは離れた精神的な空虚からあがくための救済策のひとつであっただけのそれだが、抽出してみてみれば、それは男性らしい恋愛のひとつの見本なのだろうと思う。
自分勝手と取るかロマンチストと取るかは難しいところだけれども。
近くにこういった太宰らしさを現代的に体現したような夫婦を知っている。とはいえ、現代になるとこういった男性の理想とは女性側の反発が多くてなかなか難しい物だけども、なんて考えたりもする。

レビュー投稿日
2014年6月1日
読了日
2014年6月1日
本棚登録日
2014年6月1日
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