孤島の鬼 (江戸川乱歩文庫)

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本棚登録 : 607
レビュー : 63
著者 :
及川さん  未設定  読み終わった 

エドガー・アラン・ポー、じゃなくて、江戸川乱歩の『孤島の鬼』を読了。実は乱歩の作品は読んだことがなかった。

ミステリ好きにとって乱歩は基本中の基本なのに、今更かと言われても仕方ない。

さて、乱歩と言えば恐らく「明智小五郎」や「少年探偵団」、「怪人二十面相」が真っ先に思い浮かぶと思うが、本作にはそれらは全く出てこない。

ではどのような作品かと言うと、テーマとして2つあげることができる。

一つは「怪奇小説」。乱歩には怪奇趣味があったと言われている。これは乱歩の他の作品『人間椅子』や『芋虫』といった、現在では問題になるような表現をたっぷりと含んだ作品(読んではいないが大体のあらすじは知っている)にもよく見られる。そういう表現が苦手な方にとっては、あまり気持ちのいいものではないかもしれない。

もう一つは「同性愛」。本作の主人公は主に学生時代に知り合った簑浦と諸戸という男2人なのだが、蓑浦は尊敬できる先輩といった風に諸戸を慕っていた。諸戸は快活で頭のよい美男子だが実は同性愛者で、女性に興味がないどころか汚いものだとさえ感じ、またそんな自分を恐ろしくも思い、そして蓑浦に恋情を寄せている。今で言うBLかと思われるかもしれないが、そこまでのものではない。

乱歩の長編最高傑作との呼び声も高く、色々なサイトのレビューも好評。トリックも当時では斬新だったに違いない。

昔の作品だけあって、流石に文体や表現は多少読みづらくはあったが、面白い作品だった。少し残念だったのは、終わりが少し呆気なかったこと。それでも最後一文には感動した。

表現と言えば、1930年発表の古い作品なので、いま現在では差別用語に値する酷い表現や言葉が使われている。障害者の扱いが酷かった時代である。元々乱歩の作品にはエログロが多いこともあるし、本作も例外ではない。作中には障害者が多数出てくるのだが、その人たちの扱いが何と言うか…だいぶ酷いものがあった。時代が時代だったこともあるし、そういうのがどうしても嫌な方にはオススメできかねるが、楽しむべきところは他にあることは理解して貰いたい。

レビュー投稿日
2014年7月27日
読了日
2014年2月21日
本棚登録日
2014年2月21日
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