春になったら莓を摘みに (新潮文庫)

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本棚登録 : 3018
レビュー : 323
著者 :
n6utさん エッセイ   読み終わった 

【内容】
 梨木香歩さんのエッセイ.主に,筆者が英国に滞在した時にお世話になったウェスト夫人や下宿人について.

【感想】
 梨木香歩さんのフィルターを通した,英国での生活や,様々な文化,周辺の出来事・会話は読んでいて楽しかったです.ウェスト夫人が彼女の知り合い総出で「筆者をニューヨークへ連れていきたいという」想いと筆者の「行きたくない,英国の片田舎で羊の群れの分にまみれている方がマシ」という主張の張り合いにはつい吹き出してしまいました.

 また,その折に出てくる慎ましい主張,思考にはっとさせられます.
 例えば,
 夜行列車の予約席とは全く異なる席に案内された時の,車掌の蔑視感情,誤解を解こうとすれば感情が波立つ.解決できても納得がいかない.だからといって,表面的な怒りに身を任せて訴えるのは不毛である.本当に自分が感じたのは….

 筆者は本当の感情を理解するのは難しさ,ましてや従軍慰安婦問題といった国家レベルの問題や,犯罪の被害者側の感情といった,他者の感情・尊厳を理解する難しさと必要性を訴えます.
 国家間の領土問題やいじめ問題など,今も「他者」への想像力・共感能力を努力する必要が(意識的に努力する必要が)あると思います.
 私も筆者のように,少し立ち止まって考えられたらと,自戒します.安直に想いを吐き出すのではなく.

レビュー投稿日
2012年10月5日
読了日
2012年10月5日
本棚登録日
2012年10月5日
5
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