「弱者」の哲学 (科学全書 49)

  • 大月書店 (1998年6月1日発売)
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FBで紹介されているのをたまたま見かけて、手に取りました。出版社HPでは、<現代をおおう効率万能主義は「弱者」をはじき飛ばす。本書は「弱者」の問題を窓口に、人間や社会や文化の基本的な枠組みを根本的に問い直し、「平等とは何か」にせまる>と紹介されていました。

「能力に応じた」という当然のこととして受け入れられている中に入り込んでいる差別・抑圧的な考え、代理的あるいは推定的な意思が介入して自己決定の構図が崩れてしまっている現状、「天は人の上に人を造らず」と唱えた福沢諭吉が数年後には優性思想を公言した事実等、深い内容を提起する本の内容を行ったり来たりしながら読んだので、とても時間がかかってしまいました。

23年前に書かれた本ですが、相模原市の障害者施設における殺傷事件やナチスによるT4作戦、出生前診断に関わる現状、障害者観等、現代に直接つながる力を持った本だと思います。

そばに置いておき、自分を社会を見つめ直すのに時々読み返そうと思いました。

難しい本です。でもお勧めです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2016本
感想投稿日 : 2016年8月30日
読了日 : 2016年8月28日
本棚登録日 : 2016年8月13日

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