ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)

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本棚登録 : 8602
レビュー : 517
著者 :
つさん 日本小説   読み終わった 

初期三部作はなんとなく色がなくてかなしいかんじです。たとえばカフカとか、たとえばねじまき鳥とか、たとえば世界の終わりととか。みんなしっかりしているけれども全然かなしくないのに。初期三部作だけはものすごくかなしい。かなしくないところでもすごく、かなしい。そんな物語の延長だからか知らないけれども、全部寒くてかなしい。寒いのは多分いるかホテルが札幌だから。物事がどんどん失われ続けて、というより、この頃の、この物語を一貫して書いていた頃の村上春樹は自分から何かが失われるということをすごくこだわって書いている気がして、中学生の頃とか、手のひらの上に無限に可能性を持っていた頃はそんなものは全然響かなかったのだけれど。手のひらからポロポロと色んなものをこぼしてこぼして時間がたって、なににひとつ選んで手には入れてなくて、そういうわたしにこの本はずしり、ずしりと重い。かなしい、ほんとうに。なんでまた、本を読んでこんなにかなしくならなければならないんだろう、と思うくらいかなしい。昔から、良い本とは時間を忘れて貪り読んでしまうような本だろうと常々思っていましたが、最近はちがう。本当に良い本とは、読んでいる途中で自分とか、自分の在り方というものがむくむくと浮かび上がってきてどうしようもなくなって色んな事を考え込んでしまうから、何回も読むのを中断せざるを得ない、面白くて面白くてしょうがないのにでもどうしようもない。そんな本ではないでしょうか、と考えるようになりました。

レビュー投稿日
2013年9月26日
読了日
2013年9月22日
本棚登録日
2013年9月21日
3
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