この本の問題意識は、社会変革を起こすための投資がもっと効果的・効率的に行えるのではないかという点である。
社会変革を起こす組織が「なにが成功か」を十分明確に定義していないために、
社会投資家もどの組織に何のリソースを提供すればいいのか判断できない点が問題であると指摘している。
「なにが成功か」を把握するためには、成果に対してどのような社会的影響を与えたか(=インパクト)を知ることが重要。
また、組織が目指す目標は利害関係者の間で必ずズレが生じる(価値観は様々であるため)ため
組織と投資家の足並みをそろえ、受益者と投資家双方が満足できる仕組みづくりが必要であると述べている。
例)どのようなリソース(金銭、労働力、知識、コネなど…)を投資してもらうか、ゴールはどこか、リターンは何かなど。
インパクトを知るにはインパクトを測定する必要がある。
測定には実績の把握だけではなく、仮定の検証、改善や資源配分、価値の伝達、利害関係者への実績の報告、資金調達などの目的もある。
測定にはロジックモデルという、事業目標の実現に向けた成果の因果関係を明らかにした上で、測定を行う必要がある。
社会的インパクトという概念を初めて知った。
社会にどれだけ影響を与えたかが大事というポイントは金銭的尺度でしか見ていない身からすると新鮮であった。
測定は要は「PDCAサイクルまわそうぜ」という話で、その測定手法について後半ページが多く割かれていた。
NPO法人の運営など実務に携わるときは大変参考になると思う。
あと邦訳本のわりに日本語に違和感がない。訳者優秀。
- 感想投稿日 : 2018年5月9日
- 読了日 : 2018年4月25日
- 本棚登録日 : 2018年5月7日
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