ヘルメ・ハイネの水晶の塔〈下〉 (講談社X文庫―ホワイトハート)

著者 :
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感想 : 3
3

上下巻読了。
シリーズ通してのネタバレ注意。

う、うぅ〜ん……。
難解な、というか、抽象的な作品だった。

この作家さんは非常に詩的で美しい表現をされる方で大好きなのだが、本作はとりわけその魅力が現実的な環境と幻想的な状況それぞれで楽しめる。
ファンタジー好きな私にとっては、いわゆるファンタジーが始まる前の「現実パート」が邪魔に感じられることもあるのだが、本作は現実パート自体がもうファンタジー。
世界中の孤児が集まる「夏の国」、メアリー・ポピンズ・ライセンス、心にしたがう箒…。
それは舞台となる世界自体が現実とは異なるからで、それゆえに導入から早速楽しかった。
……のだが、そのため「現実ではない世界の中に、舞台となる不思議な街があり、そこにもっと神秘的な塔があって、そこからさらなる幻想的世界に踏み入れる」という複雑な多層構造になってしまっており、ガチ幻想的世界に入ってからは、現実との乖離が進みすぎて正直なところ何が何やら。
骨子となるイメージは反復され続けているので、私の読解力不足なのかもしれないが…。
さらに、内容を文章化されているままに読むと、主人公とヒロイン(またはヒーロー)に該当するはずのキャラクターが、ふたりともえらい悲惨な結末を迎えている。
そしてそのことに何の意味が、または因果があったのかも、一読では腑に落ちなかった。

ただ、なぜか泣ける作品ではあった。
それは不思議な幻想世界の中に、主人公の人生の悲哀が巧みに象徴されていたからか。
が、それでもやはり「よくわからない」という感想が先に立ってしまった。
これはどういう物語だったのかと聞かれて、悪い意味で説明できない感じ。

作者は、後書きにて、作中のとあるキャラクターをさして「理想」と言っていた。
主人公がああなって、その理想キャラがああなるというのも含めて、読者と作者の感情移入先のズレをいささか感じる読書体験だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年2月20日
読了日 : 2020年2月20日
本棚登録日 : 2020年2月20日

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