日本二千六百年史 新書版

2.91
  • (0)
  • (5)
  • (2)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 129
レビュー : 7
著者 :
nagisa-libraryさん ☆日本史・古典☆   読み終わった 

「昭和14年7月に発売され、たちまちベストセラーになったが、軍部や右翼の一部から「国体違反」「不敬」などの批判が浴びせられ、発行中止の告発を受理した検事局から削除訂正を求められた。このため昭和15年9月以降は訂正版となった。そして敗戦後GHQによってまたも追放。
本書は初版であるが、改訂版で削除された箇所を傍線で示し、読者の参考と供することにした。」

「隠そうとしていた部分がわかる」というだけでも興味深いですが、日本の通史として、本当に面白い本でした。
ただ、読み方や意味のわからない言葉が毎ページ数個あり、辞書で調べながらやっと完読。
「日本語ってこんなにたくさんあるんだなあ」と感心。
同じ言葉ばかり使っている自分…。
大川周明さんの頭の中にはこれらの単語が全てはいっているのでしょうか。
しかも、それでインド哲学が専攻だからヒンズー語もできるだろうし、コーラン全文翻訳したからアラビア語もできる?

まあ、とにかく全部面白かったけど、四つ記録しておきます。

日本史受験したというのに、北条と藤原がごちゃごちゃになっていた私。
北条泰時についてのこの部分すごく好き。
>仁治二年、天下の豪族たる武田一家が、土地に関して小さな大名と争える時、泰時は道理に於て武田の非なるを見、之を敗訴せしめた。武田一家はこの敗訴を恨みて、泰時の一身に危害を加えんとするとの評判が高まり、人々は再三泰時に警戒注意を与えた。その時、彼曰く「人の恨を顧み、その理非を分たざらんには、政道の本意あるべからず。逆心を怖れて申し行わざらんには、定めてまた存私の謗を招くべきか」と。而してこの事ありて一月の後、武田家は巷説の無実なるを陳じ、もとより何らの異心なきのみならず、子々孫々断じて悪事を企てざるべき旨の起請文を泰時に差し出した。彼は綿の如き情と、鉄の如き意志とを以て、民と国とのために一生を献げたのである。

また、私は源氏物語が好きではないのですが、「平安朝末期の道徳的頽廃はほとんど吾らの想像以上に甚だしきものであった」と大川氏。嬉しいお言葉。
「しかるに爛熟せる京都文明が生みたるこの堕落腐敗を刷新して、日本国をその道徳的破産より救えるものは、実に武士道そのものであった」
そして武士たちがすごくカッコよく描かれているのです。時代もあるのかな…。

一方宗教ですが、道元禅師について一章費やしている事に驚き。
なぜなら私、よく曹洞宗のお寺に行っているものですから。
でも道元についても曹洞宗についてもほとんど知識なかったので、これからいろいろ読んでみようと思いました。

最後に、やっぱり一番面白かったのは幕末。
結果を知っているのに、ドキドキして読みました。
図書館で借りたけど全部読む時間が無いというかたは、このテーマだけ読んでみては?

「(前略)外に海外の形勢を望めば、英・露・仏・米の新興諸国、最も無遠慮に東侵南下の政策を強行し、西力の東漸(西洋の侵略)、日に激烈を極めたる時である。(中略)かくの如くにして貪婪飽くことを知らざる欧米列強の爪牙は、当然シナ及び日本に向かって研がれ始めた。今日にして日本当時の国際的地位を顧みれば、国家の存亡累卵の危きよりも危く、真に冷膚をして沸然たらしむるものがある。けれども幸いにして非常の国難を免れ、まさに三千年の社稷を失わんとせる逆境を脱出して、却って新日本の建設を成就せしことを思えば、真に歓天喜地して皇国の幸運を祝せざるを得ない。日本に天祐ありとすれば、その明らかにかつ豊かに下されしこと、実に幕末の時に於けるが如きはない。」

レビュー投稿日
2018年4月8日
読了日
2017年11月27日
本棚登録日
2017年11月27日
1
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『日本二千六百年史 新書版』のレビューをもっとみる

『日本二千六百年史 新書版』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする