ドビュッシーとの散歩

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rlさん  未設定  読み終わった 

p.47
8 パゴダ
……
 19世紀末のパリではオリエンタリズムが流行していた。とくに絵画の世界は、中国や日本の美術を知って強い刺激を受け、新しい発展をとげた。遠近法にゆきづまりを感じていた画家たちは、広重や歌麿の版画の独創的な構図や単純化された線、平面分割法をとりいれた。……
 音楽の世界でも、同じようなことが起きた。作曲で遠近法に当たるのは、長調、短長の違いをくっきり分けたり、コードを立体的に組み立てたりする技法だが、19世紀後半には飽和状態になってしまい、作曲家たちは新しい方法を捜していた。そのよりどころのひとつとなったのが東洋の音楽で、ドビュッシーはジャポニズムをとりいれた最初の作曲家だった。
 ドビュッシーは、短長のかわりに全音音階を使ったり、東洋風の五音音階を使ったり、四度を重ねたりして調性感がなるべくあいまいになるように工夫し、並列的でスタティックな音楽をつくろうとした。
ドビュッシーの死後、メシアンやジョン・ケージ、クセナキスがこぞって東洋の旋法やリズムを作品にとりいれるようになるが、ドビュッシーはその先駆者だった。
 ドビュッシーの作品を私たち日本人が弾くと、どこかなつかしい感じがするのは、こんなところからきているのかもしれない。

レビュー投稿日
2015年11月27日
読了日
2015年11月27日
本棚登録日
2015年11月27日
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