菓子屋横丁月光荘 浮草の灯 (ハルキ文庫)

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本棚登録 : 141
レビュー : 12
Kaikoさん 小説   読み終わった 

シリーズ2巻目。古い家が発する声を聞くことができる大学院生、遠野守人と周辺の人々との関わり。川越を舞台にして「活版印刷三日月堂シリーズ」とのリンクが沢山ある。
古書店浮雲のその後が描かれていてファンとしては嬉しく、すこし物悲しい。小川未明の『赤いろうそくと人魚』は私も絵本で読んだ。酒井駒子版。そして怖かった。強い怒りと哀しみが潮のかおりになって漂ってきそうな。『月夜と眼鏡』は未読なのでぜひ読んでみたい。水上さんの跡を継ぐか就職するかで悩む安西さんに、遠野くんが紹介した和蝋燭。洋蝋燭との違いなんて、全くしらなかった。炎は暗め、蝋が溶け残らない、芯が固い。櫨蝋とかかれると『肥後の石工』を思い出す。蝋燭は灯りだけでなく、ゆっくり流れる時間をくれるのかもしれないと思った。続く2章は紙のお話。和紙はきちんと手入れをすれば千年も持ち、濡れても墨は流れない。生活に紙を活かすためのお店作りの一環として行ったワークショップの紋切り型、いわゆる切り紙は私も懐かしくて顔が綻ぶ。ルーツが中国のヤオトンにあるという。どんな場所なのだろう。
全体的に家族との軋轢やすれ違いが描かれていたが、少しずつわだかまりがほどけていくのが心地よい。それぞれが大切にしているものを軸にして、遠巻きながら繋がっていく。ほしおさんは必ず手仕事や伝統工業や、歴史などを紹介してくれる。そして工夫を重ねて、これからも続く形を描いてくれる。途絶えさせるにはあまりに惜しいものたちが、どうか未来へ続いていきますようにという願いを感じる。

レビュー投稿日
2019年7月12日
読了日
2019年7月12日
本棚登録日
2019年7月7日
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