本陣殺人事件 (角川文庫)

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本棚登録 : 1966
レビュー : 209
著者 :
nakagawaさん  未設定  読み終わった 

ややネタバレ。

「本陣殺人事件」旧家において、長男の結婚式の夜、新郎新婦が死体となり発見される。密室もの。
「車井戸はなぜ軋る」本位田家と秋月家の因縁。復員した本位田の長男は、特徴的な二重瞳孔の目を失い義眼となっていたが、果たして……。
「黒猫亭殺人事件」黒猫亭が売り払われた直後、庭から顔の判別が出来ない死体が発見される。死体はいったい誰で、犯人は誰なのか。

みっつとも面白かったです。
「本陣~」は、私の感覚で最も推理小説らしいと思いました。故意に作られた密室を解くのだからそれも当然ですが、犯人の諸々も行動も。マニアが嬉々として取り組んだだけある……。

一番好みだったのが「車井戸~」でした。
筋立ては分かりやすく、でもどこに着地するのか、そわそわわくわくと読み進めました。
義眼の彼が誰だったのかはっきり示された時、その心中に思いを馳せるとやり切れなさが募ります。同時に本位田家の人々、鶴代はもちろん慎吉や祖母、そしてずぶ濡れの鹿蔵に至るまで、なんとも痛ましい。もし私が、人が殺したり殺されたりする小説を読むことに理由を持っているとしたら、こういうものに触れたいからなんだろう。

「黒猫亭~」も大変興味深かったです。
金田一によって真相がどんどん明らかにされていく件は、なんだかニヤニヤしてしまう。あらまあそうだったんですか……という部分も多くありますが、私はいつも挑戦を受けて立たないタイプの読者なので(すいません)特に差し支えなし。たとえ全部明らかにされていたとしても、こう複雑だと私の頭には負えません。ただホエーって読むだけで満足です。
読み終わって冒頭から思い返してみると、構成の美しさは感銘を受けるほどでした。犯人対金田一のけれんなどにも押し流されないほど、整った輪郭のイメージ。中編程度のサイズだとまたそれが際立つものですね。

それにしても金田一耕助、好きです……。

レビュー投稿日
2018年1月22日
読了日
2018年1月20日
本棚登録日
2018年1月21日
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