龍馬伝―青春篇 (角川文庫)

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(2010.12.21読了)(2009.11.06購入)【12月のテーマ(龍馬伝を読む)その②】
「龍馬伝 野望篇」に続く2巻目です。野望篇は、新選組は、なかなか京都に向かわず終わってしまいました。
「青春篇」は、新選組40人が京都へ向かうところからはじまります。これは「龍馬伝」ではなく「新選組」では、ないでしょうか?
この本も史実など全く気にしないお話です。近藤勇、土方歳三、沖田総司、の他に、芹沢鴨、清川八郎、山南敬助、等が出てくるので、新選組らしいのですが、出発の時から「麻のだんだら模様の青い羽織を身にまとい」となっているので、「?」です。
坂本龍馬と岡田以蔵が、坂田龍一と岡本以作と名乗って新選組に紛れ込んで参加しています。全くドタバタ喜劇と言ったところです。
西郷隆盛・大久保利通や桂小五郎もどういうわけかときどき登場してきます。なんでこんなところにいるの?と考えてもしょうがないのです。作者の都合で作られているので、読者は、受け入れてついてゆくしかありません。
江戸を出立した新選組の一行は、なかなか京都にたどり着かないと言うのに、急に舞鶴沖のロシア軍艦に忍び込んで、ロシア料理ボルシチの材料を盗んでくる話が入ってきたりします。史実だけでなく、地理的位置関係も気にせずに物語が作られています。
最後には、坂本龍馬が和歌山県の高野山をダイナマイトで爆破する話が出てきます。織田信長の比叡山焼き討ちをなぞっているのでしょうか。
徳川慶喜の娘の舞姫を帝に嫁がせ、公武合体により大政奉還を実現しようということになっていて、坂本龍馬が舞姫を背負って、御所に駆け込んで、帝に拝謁する場面で「青春篇」は終わっています。
最終章の前には、明治21年の場面が挟まれ、沖田総司や坂本龍馬はもういない時代が描かれています。
「坂本龍馬は沖田総司に殺された」(451頁)と言うのですが、・・・。「決死篇」の予告なのでしょうか?
それにしても、坂本龍馬は脳腫瘍に侵されていたようなので、長くは生きられなかったでしょう。(この物語での話ですが。)

●天才(243頁)
「必要なのは錯覚よ、自分は天才だって思い込める力が天才を作るのよ」
●桂小五郎(280頁)
「桂さんってのは、努力家なんだよ。長州の石川島の13人兄弟の長男で、米屋に丁稚奉公に出されたんだよ。その米屋のおやじってのが、いつも殴る蹴るするひどい人だったらしいんだよ。米を土間に撒いて、拾ったら米一俵、田舎の弟さんたちに送ってやるって言うんだ。それで、一粒一粒桂さんは拾ったんだ。そうやって苦労して武士になっても、出はおれたちと同じ百姓だから、おれたちの気持ちを分かってくれるんだよ」
●下剃り宗介(304頁)
湯屋の男湯には垢をかき髪をすすぐ湯女がおり、そして女湯には遊女たちの下の土手の手入れをする下剃りの男がいた。
土手の除草には5つの方法がある。石でこすり、すり切る摩擦の法、線香で焼き切る焼除の法、蛤・毛抜きなどで抜き取る抜除の法、はさみで切る鋏除の法、そしてカミソリで剃る剃除の法である。
●入れ歯酒(372頁)
(酒に入れ歯を入れて飲む酒と言うのが出てきます。そんな飲み方があるのでしょうか)
「あの婆さんどもの入れ歯酒をカッと飲めば、こん労咳も治るかもしれんな」
●「資本論」(412頁)
「どんな本ですか」
「つまり、個人の財産というもんをなくすちゅう話じゃ。まっ、ハシカみたいなもんじゃろが、こんなもんが、バカ者の間ではやったら取り返しのつかないことになる」
「なぜですか。いいことじゃないですか」
「人間っちゅうもんは、欲のかたまりなんじゃ。その欲があるから、成長するんじゃ。コミュニズムは、それを否定しちょるんじゃ。所詮、人間は階級闘争ぜよ」

◆つかこうへい(本名:金峰雄[キム・ボンウン] 日本での通名:金原峰雄)
1948年4月24日、福岡県生まれ
慶應義塾大学文学部フランス哲学科中退
1974年、『熱海殺人事件』で岸田國士戯曲賞受賞
同年、劇団「つかこうへい事務所」を設立
1982年、『蒲田行進曲』で直木賞受賞
2007年、紫綬褒章受章
2010年7月10日、肺がんのため死去、享年62歳。
劇作家、演出家、小説家
作品、「蒲田行進曲」「熱海殺人事件」「ストリッパー物語」「寝盗られ宗介」

☆つかこうへいの本(既読)
「龍馬伝 野望篇」つかこうへい著、角川文庫、1991.07.25
「龍馬伝 青春篇」つかこうへい著、角川文庫、1995.02.25
(2010年12月25日・記)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 坂本龍馬とその周辺
感想投稿日 : 2010年12月23日
読了日 : 2010年12月21日
本棚登録日 : 2010年12月17日

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