バグダッドブルー

著者 :
  • 講談社 (2004年2月14日発売)
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感想 : 5
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(2006.04.10読了)(2006.03.11購入)
2003年2月~7月のイラクを取材した写真集です。前半が写真で、後半が写真を撮影した時の様子を記述した文章です。フォトエッセイといったところでしょうか。
写真は時系列に沿って掲載されているわけではない。だから、ドキュメンタリーとか、報道ということではない。
2003年3月20日にアメリカによる、イラク攻撃が開始され、5月1日にブッシュ大統領により、戦闘終結宣言が出された。この前後のイラク国内の人々の様子が写真と文章によって、切り取られている。
現場にいないと見えないこともあるでしょう。現場にいても分からないこともあるでしょう。早くイラクの人々が平和に暮らせる日が来て欲しいのですが、2006年4月10日現在、内戦状態といわれている。イラク人同士が、憎しみもあらわに殺しあっている。イラク国外のイスラム原理主義者が入り込んで、宗派争いに油を注いで燃え上がらせているという情報もあり、混迷を深めるばかりだ。強力な政治指導者が必要だという人もいる。サダム・フセインに復帰してもらえばいいとでも言うのでしょうか!
著者は、戦場を駆け回っているカメラマンで、死ぬ覚悟はできているようだ。無茶はせず、生き延びて取材を続けて欲しい。

●戦場のジャーナリスト(177頁)
泊まっていたホテルが米軍の攻撃を受け、ジャーナリストが数人死んだことを知った。ジャーナリストが死んだという事実は、私にとっては特に何の感情も呼び起こさなかった。戦争だから人が死ぬのは当たり前でもある。イラク人たちがたくさん殺されている現場で、ジャーナリストが安全であるはずもない。できうる細心の注意を払い、後は運を天に任せる。このくらいに考えないと、とても戦場に行く事はできない。

☆関連図書(既読)
「最前線ルポ 戦争の裏側」村田信一著、講談社文庫、1999.02.15

著者 村田 信一
1963年生まれ
1985年海上自衛隊満期除隊
1990年から戦争の現場を取材・撮影
1996年講談社出版文化賞写真賞受賞

(「MARC」データベースより)amazon
ハリウッド映画のように真実から遠い戦争と憎しみの彼方で、写真家が捉えたイラクで生きるということ-。孤高の戦争カメラマンが、イラクの真実を写真と文章で綴る。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中東情勢
感想投稿日 : 2010年2月11日
読了日 : 2006年4月10日
本棚登録日 : 2006年4月10日

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