(2013.08.07読了)(2013.07.29購入)
【新島八重とその周辺・その⑪】
官軍は、会津に迫り、ついに会津戦争がはじまります。
八重も鶴ヶ城に籠城し、鉄砲隊を指揮したり、大砲での砲撃を指揮したりしながら奮闘するのですが、官軍の優れた大砲および鉄砲の前では、会津軍は圧倒されるばかりで、ついに降伏します。
降伏の後、八重たちは米沢で暮らした。そこに、兄の覚馬が京都にいるという知らせが届き、八重たちは、京都へと移る。
覚馬は、盲目となったが、才能を買われ、京都府の顧問として働いていた。
八重は、女学校の教師として働き、キリスト教の学校を作りたいと京都にやってきた新島襄と出会う。
キリスト教の禁教扱いは、明治政府によって取り消されていたが、人々のキリスト教に対する嫌悪は、変わらない。
京都は、仏教の盛んなところなので、新島襄の作ろうとしている学校は、なかなか認可が下りない。
新島襄と八重は、婚約し、八重は、キリスト教徒となったため、女学校は、解雇されてしまう。
苦難の末、同志社英学校は、開校にこぎつける。
【目次】
第二十四章 二本松少年隊の悲劇
第二十五章 白虎隊出陣
第二十六章 八重、決戦のとき
第二十七章 包囲網を突破せよ
第二十八章 自慢の娘
第二十九章 鶴ヶ城開城
第三十章 再起への道
第三十一章 離縁のわけ
第三十二章 新天地を切り拓け
第三十三章 新しい時を生きよ
第三十四章 帰ってきた男
第三十五章 襄のプロポーズ
第三十六章 同志の誓い
第三十七章 熊本からの転校生
●籠城戦(63頁)
慶応四年八月二十三日、新政府軍が会津城下に侵入。八重はスペンサー銃を肩に入城し、少年たちを率いて銃撃戦の指揮をとった。
土佐と内蔵助は敗戦の責任をとって腹を切り、飯盛山では白虎隊の少年たちが自刃。頼母の家族は、揃って命を絶ち、新政府軍に抵抗の意を示す。
●戦(67頁)
昨日まで共にいたものが血を流し倒れる。家族がちりぢりになる。助けられる命さえ見殺しにされる。家も町も焼かれる。悲しむことさえ許されない。戦はむごいものだった。
●強くなれ(77頁)
「背負った荷物の分だげ強ぐならねば、ひと足も、前には進めぬぞ」
●開城降伏(116頁)
「十五歳に満たぬ幼い者、六十を超す年寄り、それから女は、お構いなしとなりましたが……藩士の方々は、猪苗代で謹慎されます」
●明治(124頁)
「明治とは、人民の声を聞いて政治を行えば国が明るく治まる、という意味です。」
●国を愛する(269頁)
「国とは国家のことではありません。国とはピープル、人々のことです。国を愛する心とは、自分を愛するように目の前にいる他者を愛することだと私は信じています。」
☆関連図書(既読)
「保科正之-徳川将軍家を支えた会津藩主-」中村彰彦著、中公新書、1995.01.25
「奥羽越列藩同盟」星亮一著、中公新書、1995.03.25
「戊辰戦争」佐々木克著、中公新書、1977.01.25
「松平容保-武士の義に生きた幕末の名君-」葉治英哉著、PHP文庫、1997.01.20
「新島八重の維新」安藤優一郎著、青春新書、2012.06.15
「小説・新島八重 会津おんな戦記」福本武久著、新潮文庫、2012.09.01
「八重の桜(一)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2012.11.30
「八重の桜(二)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2013.03.30
「吉田松陰」奈良本辰也著、岩波新書、1951.01.20
「吉田松陰」古川薫著、光文社文庫、1989.06.20
「吉田松陰の東北紀行」滝沢洋之著、歴史春秋出版、1992.12.25
「岩倉具視-言葉の皮を剥きながら-」永井路子著、文藝春秋、2008.03.01
(2013年8月12日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
会津戦争の敗北ですべてを失った八重は、兄のいる京都へと向かい、京都で「知識」という新たな生きがいを得る。会津のプライドを貫く八重は、京都でも存在感を増し、アメリカで西洋文化に触れた新島襄を魅了する。八重の生き方を襄は、ハンサムウーマンと称した。
- 感想投稿日 : 2013年8月12日
- 読了日 : 2013年8月7日
- 本棚登録日 : 2013年8月5日
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