ペルー燃ゆ 1989‐1991

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(2006.04.14読了)(2003.02.07購入)
中南米で、自国の都合しか考えないアメリカへの反発が高まり、反米を掲げる政権が次々と誕生しているというニュースが流れています。ペルーにおいても大統領選挙が行われている最中で、反米を掲げる候補が善戦しているということです。
今回の大統領選挙に元大統領のフジモリさんも立候補しようとしたようですが、現職の大統領の時に不正に関わったということのためにチリで足止め中です。

著者の桃井さんは、最初はフィリピンに関心があり何度も通ったようです。
「苦しい現実の中でも一生懸命に生活を楽しむフィリピン人の性格、感覚。これは、僕がそれまで訪れた他のアジア諸国とは明らかに異なっていた。」(7頁)
「フィリピンはアジアにあるラテンアメリカ文化圏だ」と気が付き「次は中南米に向かうしかない!」と決心し「僕は「南米の玄関」ペルーに向かって成田を飛び立った。」(9頁)
この本は、フジモリ政権誕生前のペルーの国内状況のルポです。
仕掛けられた爆弾処理の様子、禁じられているにもかかわらず、当然始まるデモの様子。
コカインの原料となるコカの不法栽培の現場取材。反政府組織MRTA(トゥパク=アマル革命運動)の支配地の取材。プエブロ・ホーベン(新しい街)の取材。センデロ・ルミノソ(輝く道)最前線「アヤクーチョ」の取材。ペルーで経験した泥棒あれこれ。ストリートチルドレンの取材。(散々な目にあった。) 無届売春宿の敵発同行記。日本人移民の話。
フォト・ジャーナリストなので、写真もかなり入っています。

●デモ(27頁)
デモでは、多くのものが叫び、時には涙まで流して自分たちの生活苦を訴える。しかし、ここは南米ペルー、ラテンアメリカの国だ。10時に始まったデモも、12時に始まったデモも1時ごろになると、昼食のために終わってしまうのだ。そもそもラテンアメリカの人間は「飲んで、食って、楽しんでこその人生」という確固とした哲学を持っている。
●ラテン・アメリカ気質(32頁)
叩かれても起き上がり、叩かれても立ち上がるしぶとさ。どんな状況をも笑い飛ばす明るさ。こうしたラテン・アメリカ気質がなければ、今のペルー社会で生き延びることなどできないのだから。
●コカイン原料の栽培(49頁)
現在、日本でも問題になっているコカイン。この麻薬の原料である「コカ」の主産国が、ペルーだという事は案外知られていない。世界市場におけるコカイン原料の実に60%は、ペルーのジャングル地帯で不法栽培されているのだ。
●センデロ・ルミノソの主張(107頁)
「インディオはスペイン人入植後、牛や馬と同じように考えられ、まともな権利など何ひとつ与えられなかった。センデロの革命が成功すればペルーから「人種」などという曖昧なものはなくなる。あるのはインディオ(農民)か、インディオの血を引くものの権利だけだ。それが嫌な者はこの国から出て行けばいい。ここはインカの子孫が再び主役になる宿命の国なのだから」
●賄賂前提社会(177頁)
ペルーを始め、ラテン・アメリカでは賄賂が社会の一部として完全に組み込まれているのだ。知人が交通違反で捕まったときも、僕の飛行機の切符が取れなかったときも、簡単に金で片付いてしまう。逆に少しの金を惜しむと、意地悪されたり足止めされる結果にもなる。これらの国々では、賄賂を取ることを前提として、給料を安く抑えている場合もあるからだ。
●移民(193頁)
日本からペルーに初めて組織的に移民が渡ったのは、1899年2月のこと。横浜港を出航した「佐倉丸」に乗った契約移民790人は、日本で貧しい生活を送っていた農民を中心に構成されていた。
南米で一番早い時期に始まったペルー第一航海移民790人の場合、食糧不足と病気が原因で死亡者が続出し、4年後、ようやく帰国できるようになったときの消耗率は、実に79%にも達したのだった。(195頁)
☆関連図書
「図説・アマゾン」芝生瑞和著・桃井和馬写真、河出書房新社、1992.10.30

著者 桃井 和馬
1962年7月24日生まれ
テンプル大学日本校アメリカ研究学科卒
フォト・ジャーナリスト
1995年 『青い緑の星』で第32回太陽賞を受賞

(「BOOK」データベースより)amazon
麻薬、売春、犯罪、貧困、インフレ、革命、テロ、移民、伝統―。フジモリ大統領誕生前後の混沌と熱気にあふれた国、ペルー。新鋭フォト・ジャーナリストが見た、燃える400日。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中南米
感想投稿日 : 2010年2月11日
読了日 : 2006年4月14日
本棚登録日 : 2006年4月14日

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