好きなことだけやればいい

著者 :
  • バジリコ (2002年4月1日発売)
3.21
  • (3)
  • (4)
  • (12)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 71
感想 : 12
3

(2015.11.12読了)(2003.05.11購入)
【ノーベル物理学賞】
中村さんが特許裁判で騒がれていた2003年ごろに何冊か買い集めたうちの一冊です。
会社に所属して開発に携わっていても、発明したものが製品化され多くの利益をもたらした場合には、発明者個人にもっと多くの報酬を支払うべきなのじゃないかと、会社側を訴えて、裁判に勝ったことは、有名です。
この本が出たのは、2002年ですが、本の帯には、「ノーベル賞に最も近い男」と書かれています。それから12年後の、2014年には、本当にノーベル物理学賞を受賞しました。
実用的なものには、ノーベル物理学賞は、与えられない、と勝手に思っていたので、びっくりしました。考えてみれば、江崎玲於奈さんのダイオードも実用的なものだったのかもしれません。
著者は、物理世界の根本法則を研究して明らかにしたかったようだ。それが、先生の勧める工学部に入学したために、やりたくもない研究開発を続けて、ノーベル賞級の発明をしてしまったことを、非常に悔いているようだ。
この本は研究開発に携わる後輩たちに向けて、好きでもないことを命じられても、命令に従わず、自分の信じるところをがむしゃらに進めと、いっているようです。
まあいわば、極論の面白さ、でしょうか。大部分の人には、実行できそうもなく、少数の人には、いわれなくても、やっているよ、というところでしょう。

【目次】
プロローグ
第1章 逆転へのスピンアウト
第2章 自分の頭で考えろ
第3章 自分の成功パターンを作れ
第4章 自分のことをよく理解しろ
第5章 好きなことだけやればいい
エピローグ

●選択(42頁)
人間の選択というのは、あやふやなものだ。こうしようと考えていたことを次の日には自分から変えてしまったりする。私は運命論者ではないが、明日のことは誰にもわからない。
大切なことは、選んだあと、そこでいったいなにをするかだ。自分なりに必死になって考え、責任を持って行動すれば、いくらでも道は開けるし、成功する方法はある。
●国際的な学会(119頁)
国際的な学会の場では、過去にどんな論文を書いていたか、どんな学説を発表したのかが特に重要視される。どこのなに大学だとか、教授だとか助教授だとかいう肩書きはあまり関係ない。その分野の学会誌にどれだけクォリティの高い論文を出し、それがどれだけ多く他の論文に引用されているのかが研究者を評価する上での重要な要素となる。
●どん底(135頁)
どん底というのは何もない場所で、この広大な宇宙にその問題を考えている自分だけがポッカリト浮いているような非常にシンプルな状態なのである。
そんな最低の状態の中から、いいアイディアがふっと浮かんだり、ヒントがパッと目に飛び込んできたりする。
●製品開発(149頁)
会社の命令で「これは売れる」という製品を十年間で三つ作った。ガリウム燐、ガリウム砒素、赤外LEDと赤色LEDだ。
●暗記科目(156頁)
大学入試に必要な暗記科目など、人生にはなんの必要もないものばかりだ。なぜ興味のない分野を、必死になって勉強しなければならないのかわからない。
●人生(156頁)
人生というものは、人の言うことなどには耳を貸さず、自分のやりたいことだけを、自分で考えて判断して好きなようにやらなければ損だ。

☆関連図書(既読)
「考える力やり抜く力私の方法」中村修二著、三笠書房、2001.02.25
「怒りのブレイクスルー」中村修二著、ホーム社、2001.04.10
「負けてたまるか!」中村修二著、朝日選書、2004.03.25
(2015年11月20日・記)
内容紹介(amazon)
本書は、青色発光ダイオード(LED)を独力で発明、2002年米国フランクリン賞を受賞して、現在「ノーベル賞に一番近い人物」と評価されている中村修二氏による書き下ろし作品です。
地方企業のサラリーマン研究者が、なぜ、世界を変える発明を成し遂げられたか?自然のなかで過ごした少年時代、不本意な進路を悔いた学生時代、自身の不遇だったサラリーマン時代をつぶさに振り返り、逆境をバネに、たった一人で心に決めた研究開発テーマに挑んだその生き方と発想のエッセンスをあますことなく語ります。
キャリアや生き方に悩むビジネスパーソン、新社会人、就職活動中の学生のみならず、不況に苦しむニッポンにおくる活力溢れた熱いメッセージです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 物理・化学
感想投稿日 : 2015年11月20日
読了日 : 2015年11月12日
本棚登録日 : 2015年11月10日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする