堀江貴文さんの書評で興味を持った。
作家、山口瞳が自分のルーツを探るというもの。母方の親族は旅館を運営していたと聞いていたが、調べていくうちに業態をかえ遊郭を営んでいたということがわかった。しかし、著者は母や親せきから一切そのことを聞かされてはいない。
遊郭は人買い商売であり、職業として差別されていた。
当時、花魁は病気になると医者に見せず、地下牢に閉じ込めて、死んだらそっと外に出して処理するという、むごいことが行われていたため、遊郭の一帯は花魁の祟りにより、その一族が絶えるとまで言われた。
調べていくうちにわかったが、山口氏の一族が経営していた遊郭は、人買いには熱心ではなく(女郎が高齢化した)遊女の墓を立て弔うなど、比較的良心的な経営をしていたようだ。
遊郭を営む人とは他人でありながら、血の結束のような強い繋がりがあって、隣の遊郭を経営していた人を養老院に入れる世話をした。(母から遠い親せきだと聞かされていたため)逆に、一族から出て、養子に行ったものとは、縁を切るなど、血とは違う繋がりがあることが書かれている。昔のノンフィクションであるが、素材の力で一気に読ませる。
読書状況:読み終わった
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堀江さん
- 感想投稿日 : 2013年5月21日
- 読了日 : 2013年5月21日
- 本棚登録日 : 2013年4月8日
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