『輝山』というタイトルの思いが込められた、
とても素晴らしく輝く物語でした。
江戸表から石見国大森代官所に赴いてきた金吾が、銀山の町で懸命に生きる人々と出会い、触れ合いながら魅せられていく様、またその銀山で暮らす人々のドラマ、そして時代劇特有の何か匂う役人たちのドラマ、全てが面白かった!
堀子頭である与平次の存在、そして彼の生様が、この作品のタイトルさながらに輝いている。
***ネタばれ***
短命とわかっていながらも、堀子という仕事に誇りを抱き、懸命に働き、周りの人々を思い、命が尽きる最後まで、町を、そこに暮らす人々を愛し、それによって自らの生を確め続けるという与平次の姿は、本当に輝いていて、お手本みたい。
とうとう気絶えにやられ痩せ衰えた与平次を、金吾が背負う場面は、込み上げるものがあり、目が潤んでくる。物語の最後、二人が出会った徳一の飯屋で、金吾が「なぁ、与平次。明日も店に来るんだろう」と与平次に語りかける金吾の言葉に、金吾の思いが伝わってきて、この場合も込み上げるものがありました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年7月26日
- 読了日 : 2022年7月26日
- 本棚登録日 : 2021年10月1日
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