論語 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫 121 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典)
- KADOKAWA (2004年10月23日発売)
恥ずかしながら、ほとんど論語も孔子も知らなかったので、初めてちゃんと儒教を理解できてよかった。紀元前六世紀の話がここまで伝わってきていること、抜粋されているとはいえ、今の時代に通じる、役立つような考え方や警句にあふれていることに驚かされる。
儒教って、親孝行っていうか目上を大事にしなさい、という説教くさいイメージがあったんだけど、そこにちゃんと、今まで繋がってきたものを大事にする、という背景があって、その連続性を重んじる、という姿勢は受け入れられるなと思った。
教養人となるのは並大抵のことではないけど、勉強や仕事と違って、道徳にはこれでよしというのがなく、年を取るほどに極めていきたくなる領域の話だと思った。いつ手にとってもいいけれど、早く読んでおくに越したことはない本だとは思う。(学生さんは勉強じみている部分が、つまらないと感じるかも)前半で孔子の人生や漢文をきちんと説明してくれているので、論語が入ってきやすい。詩とか歴史の勉強もしたいと思えた。
戦乱の世にうまれたこともあって、孔子は出世欲も強い人だなと感じた。一部、人材の見方や争いについての含蓄に、自分の考えと会わないところはあった、時代なのだろうなと思う。教育について、学びについて、は目指すところが参考になった。個人的に難しいと感じたのは、学ぶほどに謙虚になるということ。知らないことを知るからであろうが、謙虚にするという姿勢をつい忘れてしまう。ものすごく難しい。
あとは孔子は伝えたいことをいろんな例や言葉や行動で示すが、実際に自分が教える立場になったときに、ここまで辛抱強くできないような気がする。それこそ、鍛えていく部分だとは思う。四十までに惑わないようになりたい。
自分の心に染み入るような部分は、漢文でそのままでもすっと入ってきて、その体験が面白かった。竹とかに書いていたのかなあ。短い漢字の表現にすぱっとした気持ちよさを感じた。たまに読み返して、自分のその時に至らないところや悩んでいるところを知る、手がかりにしたいと思った。
中学生から読める、という謳い文句のそのままに、本当に読みやすくて挫折せず読めたのがとてもよかった。
- 感想投稿日 : 2019年9月23日
- 読了日 : 2019年9月23日
- 本棚登録日 : 2019年9月18日
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