時は明治。
大きな地所を所有して、村を束ねてきた名主の家に生まれ
その財をなげうって花火を作り上げることに熱をあげる
静助さんの物語。
…といっても、花火を改良していく
花火師の物語ではないんです。
静助さんは花火を作り、あげるための資金を出すのみ。
私が女だからでしょうか。
そんな一瞬で消えるものに、大枚をはたくなんて
もってのほか!なんて思ってましたが…。
静助さんが見つめる分捕り合戦。
貧しさとは、富とは。
泰然としていることへの憧れ。
美しいものは美しいものを呼び覚まし、呼び寄せる。
花火を見つめる数秒の、
花火だけがクローズアップされ他の感情が
心から零れ落ちてなくなる一瞬。
あのなんとも言えない満ち足りた瞬間。
花火を見に来た大勢の人々、
その人々の周り、ありとあらゆるものが
一緒に奏でた穏やかな世界。
その儚い世界が救えるものの大きさを
静助さんは誰よりも知っていただけなんです。
そのためなら、お金なんて惜しくない。
って、私はやはり思えないんですけど…ね。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年11月17日
- 読了日 : 2015年11月17日
- 本棚登録日 : 2015年10月4日
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