“編集者として、ご自分が携わってきた本にまつわる思い出話を書いた本”なのかと思って読み始めたので「???????」。「1冊の本ができるまで」を追った体当たりレポートだったのですね。 さまざまな印刷の現場を見て歩いたレポートである『印刷に恋して』の続編的存在の本で、製本、製函、製紙、インキ製造の現場まで実際に足を運んで体験して紹介。今、書店に並んでいる本がどのような過程を経て、どのように作られているのか、松田さんの目と内澤さんの詳細なイラストで、読者に判りやすく紹介してくれます。 普段何気なく読んでいる本が“工場製品”として、どれだけ多くの技術と過程を経て作り出されているのかに驚くのと同時に、本ができるまでの過程って、(私も含めて)ほとんどといっていいほど知られていないんだなあと、痛感しました。どんな風に作られているのか、ただ漠然と思い描いたことはあっても、実際に目で見たことはなくって。だからこの本で長年の疑問を解決してもらって、とてもすっきりした気分です。 いやあ。スリップやちらしって、機械で挿入するんですね。カバー&帯をかけ、スリップ、読者カード、ちらしの挿入を一度にしてしまう優れモノの機械があるなんて!てっきり人間の手で行なってるのかと思ってたわ!しかもこの自動カバー掛け機、日本独自のものなのだとか。ますますビックリです! 機械を実際に動かす技術者の方々の現場での姿も印象的。こういう方々の存在があるからこそ、本が本として存在するんですねえ。今後本を読む時、装幀だけでなく造本の部分にまで注目してしまいそうです。前編にあたる「印刷に恋して」も、ぜひ読んでみたいです。 本の形態はこれからどんどん変わっていくんでしょうが、私はやっぱり紙で出来た本がいいなあ。
- 感想投稿日 : 2006年8月8日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2006年8月8日
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