チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

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本棚登録 : 2340
レビュー : 317
制作 : Tom Rob Smith  田口 俊樹 
naokoulaさん  ├ロシア・ソビエト   読み終わった 

1980年代に女子供50人を殺したチカチーロ事件に着想を得て、1950年代のスターリン政権下のソビエトを舞台に描いた作品。このミス2009年版海外部門第1位ということで読んでみる。

殺人鬼よりも、とにかくソヴィエト社会が前提としている不文律が恐怖。
ソビエトでは平等の社会が実現しているので犯罪は起こり得ない。
もし犯罪を犯す者がいるとすれば、それはソヴィエトの体制の埒外にいる者で、排除しなければならない。

この不文律が人々の日常生活に恐怖と不信を植え付けます。
硬直した社会システムが無実の人々を殺していきます。真面目に仕事をしていても嫌疑をかけられたが最後です。なぜなら国家に捕まえられた容疑者はすべて犯人だから。それは自白するまで拷問するからです。それを覆すような証言は存在しません。そんな証言をするのは犯人の仲間だからです。魂を切り売りして心を殺さなければ、体が生き延びることができない社会です。

そんな窒息しそうな社会の描写がひとつ。
そこにソヴィエト全土にわたる連続殺人というミステリーが加わって大スペクタクルになっています。
すごい小説です。

レビュー投稿日
2012年12月17日
読了日
2012年12月17日
本棚登録日
2012年12月17日
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