i(アイ)

著者 :
  • ポプラ社 (2016年11月30日発売)
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読み終えた直後だからか、うまく言葉を紡げない
気持ちだけが昂っている、そんな感覚だ

サラバ!を思い出した人も多いのではないだろうか
ある一人の人間の「生」を描いた物語
西さんの、人間の成長、特にこころの成長の描き方はほんとうに素晴らしい
的確に捉え、掴み、ぐんぐん引き込まれていく

大量に付けられた付箋が、この物語がどれほどわたしの胸を打ったのかを、教えてくれる

この人にはわかってもらえない、と、歳を重ねるごとに思うことが増えた
生きていく中で、変わらないと思っていた人が変わってしまったり、もしくは自分自身の変化に戸惑ったり、見ないようにしてしまったり、逆に変化を受け入れたからこそ変わってしまった自分を誰かに卑下されるのが怖くなったり
変化は怖い、でも。

みんな意外と普通の家で育ったんだな、と思った時に感じる軽い失望、この人はとても苦労して生きてきたんだな、と思った時に感じる、いつくしみ
それらはとても醜い感情
みんなそれぞれ、苦しい思いをして、生きている、のに。
早くに友人を亡くした時に思った「どうしてわたしじゃなかったんだろう」
離婚を選択した母に思う「わたしは産まれてこない方がよかったんじゃないだろうか」
育ててくれたばあちゃんに思う「感謝すべき」
人から見たら恵まれた環境にいる自分
では、この満たされない想いはなんなのだ
正論で包まれたわたしの日常は、負の感情を押し込めた
西加奈子は、いつもそんなわたしの心を、解き放ってくれる

「こんなことを思ってはいけない」そんな風に思うわたしを「そう思ってもいいんだよ」と、そっと、だけど強く、訴えかけてくれる
アイの想いと、ミナの言葉が、わたしのこころを抉るように、ぐわんぐわん、ごうんごうんと、唸りながら、わたしの中に、入ってくる

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年8月25日
読了日 : 2018年8月25日
本棚登録日 : 2018年8月11日

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