ifの迷宮 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社 (2003年4月10日発売)
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本棚登録 : 317
感想 : 31
4

世の中の医療は飛躍的に進歩し、病気を治療するだけでなく、その因子を撲滅するところまで及ぼうとしている。
出産前遺伝子検査が当たり前となりつつあり、遺伝子的に問題のある出産を避けるのが主流となっている。
中にはそのような考えに異議を唱え、あえて検査を行わない者もいた。刑事朝岡百合絵もその一人であった。彼女の第一子は心身ともに発育不全である。そのことを世間では親としての怠慢と責める風潮があった。そんな百合絵は現在妊娠中、遺伝子検査を行うかどうか迷っている。そんな彼女が担当することになった殺人事件は遺伝子研究産業の大手SOMONグループの娘、亜美が被害者である。暖炉に上半身を突っ込む状態で発見された被害者。さらに彼女は足の裏を薪で焼かれている。犯人はなぜそんなことをしたのか。
2年前の死体遺棄事件や遺伝子産業反対運動、土砂災害など様々な問題が絡みあい事件は徐々にすすんでゆく。

ばくっとネタバレのないように語ればこのようなとっかかりです。
作者本人も語っているように(あとがき解説者談)うんちく本格推理小説。
このいまいち退屈さもありながら淡々と読み進めてしまう感覚をどこかで知っていると思ったらダン・ブラウン作品でした。ウンチクミステリー。
医療分野の方が読まれたらすぐにトリックがわかるのでしょうが、門外漢から見ればただただ「へーそーなのー」と言うしかない。
けっこう分厚い文庫本で2センチくらいあるのですが、3/4まではわからないことだらけ。残りで一気に解きほぐす様は圧巻でした。
通勤途中のコマギレ読みには向かないですね。
お休みの日にゆっくりとじっくりと読むのがよいと思います。
面白いかどうかはともかく、たくさんの知識が得られます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: まじめな本
感想投稿日 : 2015年3月4日
読了日 : 2015年3月2日
本棚登録日 : 2015年1月16日

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