20の短編小説 (朝日文庫)

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本棚登録 : 363
レビュー : 47
制作 : 小説トリッパー編集部 
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実はこの本、文庫本ではなく、雑誌で読みました。ブックオフの100円コーナーにあったのでつい……。

「小説トリッパー」創刊20周年を記念して20人の作家に「20」をモチーフにした短篇を原稿用紙20枚前後で書いてもらうという企画。腕くらべにもってこいですね。小説のどこで「20」を使うのか見もの。
20編読んだ結果、順位はこうなりました。

1位 円城塔「十二面体関係」
2位 江國香織「燕籠を買った日」
3位 宮内悠介「法則」
4位 山内マリコ「もう二十代ではないことについて」
5位 川上弘美「20」
6位 井上荒野「二十人目ルール」
7位 伊坂幸太郎「if」
8位 朝井リョウ「清水課長の二重線」
9位 津村記久子「ベチュニアフォールを知る二十の名所」
10位 桐野夏生「マダガスカル・バナナフランペを20本」
11位 木皿泉「20光年先の神様」
12位 藤井太洋「ヴァンテアン」
13位 山本文緒「20×20」
14位 森見登美彦「廿世紀ホテル」
15位 樋口毅宏「人生リングアウト」
16位 原田マハ「ブリオッシュのある静物」
17位 阿部和重「Across The Border」
18位 恩田陸「悪い春」
19位 羽田圭介「ウエノモノ」
20位 白石一文「いま二十歳の貴女たちへ」

1~6位は「面白かった!」
7~12位は「そこそこ面白かった」
13~19位は「ちょっとものたりないかな……」
20位は「なんだこりゃ」です。

一篇ずつ寸評を。

白石一文「いま二十歳の貴女たちへ」
不倫はそんな悪いもんでもないというお説教が延々続く。なんだこりゃ。

羽田圭介「ウエノモノ」
隣人との騒音トラブル。なんか消化不良。

恩田陸「悪い春」
志願的徴兵制が浸透した未来の噂話。薄い。

阿部和重「Across The Border」
戦地での危険なゲーム。モヤモヤ。漫画化するなら花沢健吾かな。

原田マハ「ブリオッシュのある静物」
モランディの絵と祖母の思い出。ちょっと甘すぎかな~。

樋口毅宏「人生リングアウト」
崖っぷちレスラーの試合。もっと暴走してほしい。

森見登美彦「廿世紀ホテル」
大正のホテル怪異譚。もうちょっと愛嬌があれば……。

山本文緒「20×20」
作家の隣人と死。少し地味。

藤井太洋「ヴァンテアン」
よくわからないけどサラダコンピューターという発想が楽しい。

木皿泉「20光年先の神様」
ベタな人情話だけどしみじみ。

桐野夏生「マダガスカル・バナナフランペを20本」
別れ話に来たバーで下手な歌に白ける恋人たち。微妙な脱力感が楽しい。でも普通コカコーラのことコークって言う?

津村記久子「ベチュニアフォールを知る二十の名所」
名所案内のはずが負の歴史を見せられる。面白いけど、語り口はしゃべり言葉じゃなくてガイドブック調の方がよかったかも。

朝井リョウ「清水課長の二重線」
会社のちょっといい話。話はベタだけど細部が上手く、現代の物語という感じがする。

伊坂幸太郎「if」
ひっかかった!こういう仕掛けだったか。

井上荒野「二十人目ルール」
二十人目ルールというのがなんだか妙で面白い。じんわり居心地が悪くなる。

川上弘美「20」
小学生が幸せを数値化する。手練れの技!世界を見る目が変る。「なんといっても、カラスの鳴き声ほどちゃんと決まってぴしっとした数字は、この世界には、なかなかみつからない」という結びの一文が美しい。

山内マリコ「もう二十代ではないことについて」
不安定な夫婦の引っ越し。どうということのない話なのに、後に残る。まぎれもなく、今の物語だ。

宮内悠介「法則」
あ、20ってそうきた?これはやられました。楽しいワンアイデアストーリー。

江國香織「燕籠を買った日」
にくたらしいほどうまい。なんでこんなにうまいの。筋立てはよくあるすこしふしぎファンタジーなのに、文章のひとつひとつが新鮮に輝く。くやしいけどこのうまさは認めざるをえない。いや、うまい。

円城塔「十二面体関係」
最高!二十人の登場人物の相関関係が、読めば読むほどわからなくなる。このわけのわからなさがいい、いい、すごくいい。小説だからこそ味わえる快楽!

レビュー投稿日
2016年9月25日
本棚登録日
2016年9月25日
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