正欲 (新潮文庫 あ 78-3)

著者 :
  • 新潮社 (2023年5月29日発売)
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感想 : 1729
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ずっと気になっていたけど、小児性愛者の話なら苦手だなと読んでいなかった本。
Audibleにあったので嫌になったらやめようと聴き始めたけど、すぐに引き込まれてしまい、続きが気になり過ぎて一気に聴いてしまった。

性的嗜好に『水』を選んだ朝井リョウさんはさすがだと思った。
読者が嫌悪感を持たずに「何でそんなものに!」という意外性のある『水』は、マイノリティの人の気持ちに寄り添いやすかった。
でもこれが『水』ではなくて『小児性愛』の話だったらどうか?
こんなにすんなり受け入れられないし、気分が悪くて自分は途中で読むのをやめる。

『水』は他者を傷つけない自己完結なのに対して、『小児愛』は子供が犠牲になり、その子供は一生トラウマを植え付けられる。
同じ性的マイノリティでもこの2つは全く違うものだと思う。

他者の心を一生傷つけてまで自分の性欲を満たすのは、『生れつきだから仕方ない』と言われても到底納得できない。病院に行ってカウンセリングや薬で改善してほしい。

反対に『同性愛』のような他者を傷つけない性的嗜好ならば、もしカミングアウトしてくれたら、自分を信用して話してくれてありがとうと心から思う。
逆に何でも絶対にレール通りみんなと同じように進まなきゃいけないと押し付けてくる人よりも、個性がある人の方が自分は好きだ。

登場人物の八重子は個人的にすごく苦手なタイプだった。
でもこの本を1番面白くしてくれたのは八重子だから、やっぱり朝井リョウさんはすごい。
ミステリー以外でこんなに先が気になったのはここ最近はなかった。
朝井リョウさんの他の作品もすぐに読みたくなった。
こういう押し付けずに考えさせられる本も好きだと改めて思った。
Audibleにて。




読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2024年3月23日
読了日 : 2024年3月23日
本棚登録日 : 2024年3月22日

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