9世紀の中国(唐)を旅した日本の僧侶・円仁。彼の遺した日記は、詳細な見聞録となっている。この本は、米国の歴史学者による、日記の研究成果である。
長期滞在権をめぐる、官吏との攻防戦。 中国の人々から受けた丁重なもてなし。「仏教弾圧」に翻弄された日々。といった円仁の足跡を、ライシャワー氏による状況説明と共につまみあげていく感覚を覚える。時にうろたえ、時に駆け引きをし、時に落胆しつつも生きていく人々。その中を、歩き・見て・書き続けた円仁。円仁の営みと日記にまなざしを向け続けるライシャワー氏。 この本を作り上げている三者の姿。それは、派手さのない人間の営みも、「まなざし」に値するものであることを静かに訴えかけてくる。そのうちに、日々の営みを作り出す人間が、いとおしい存在に思われてくる。
・外国にあこがれている ・中国仏教史に興味がある ・人間の、人間臭さに触れたい方に、ぜひ。
(文学部 P・N:蹄鉄 さん)
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おススメの1冊2014
- 感想投稿日 : 2014年11月11日
- 本棚登録日 : 2014年11月11日
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