短編集。「朗読者」以来、私にとっては二冊目のシュリンク。
海外の文学を読む時に残念に思うのは、文化土壌や歴史背景を著者と共有できないことだ。特に、過去の歴史が現在に生きる人々の感情にも強く尾を引いているような作品の場合、私は著者の書いた文字以上には理解していないように思う。
シュリンクの作品は、読みながら主人公が「ドイツ人」であるということを強く意識させられるものが多い。以前読んだ「朗読者」は勿論のこと、この短編集に収められている「トカゲと少女」「割礼」「脱線」もそうだ。多分、これらの作品は、ドイツ人ではない私と、ドイツの人々とではそもそも感じるものが全く違うのだと思う。
ただそれでも、彼の作品全体に漂う、何ともいえないもの悲しい雰囲気にとても惹かれる。非常に理性的で感情を露わにしていない落ちついた筆致なのに、だからこそ言いようのない切なさを感じるというか。
しかし今回、気に入ったのは上記作品ではなく、「もう一人の男」「甘豌豆」。
「甘豌豆」は最後思わず笑ってしまった。男性の目から見たらまた違う感想かもしれないな。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年9月9日
- 読了日 : 2013年6月27日
- 本棚登録日 : 2013年6月27日
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