戦後の地方格差、プロレタリアートや愛国心など、思想満載の作品。物語としては、三本の視点から若干の時間軸のズレを情報差として利用し、進んでいく。島崎国男が、土方で堕ちていく様子、ヒロポンに手を出した瞬間から、緩やかに下降していく人生。その中で、スリの村田の存在は大きかったはずだ。あの関係性も好き。公安と刑事部の衝突もバチバチで、本当に楽しく読める。忠の立ち位置がよく分からなかったが、新聞からテレビへ、変遷していく中での価値観の軋轢などは如実であった。奥田さんは、こういう作品も書けるのか。勉強家だなぁと思う。
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- 感想投稿日 : 2016年9月14日
- 読了日 : 2016年9月13日
- 本棚登録日 : 2016年9月13日
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