オリンピックの身代金(下) (角川文庫 お 56-4)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年9月23日発売)
3.92
  • (160)
  • (294)
  • (158)
  • (16)
  • (6)
本棚登録 : 1749
感想 : 203
4

戦後の地方格差、プロレタリアートや愛国心など、思想満載の作品。物語としては、三本の視点から若干の時間軸のズレを情報差として利用し、進んでいく。島崎国男が、土方で堕ちていく様子、ヒロポンに手を出した瞬間から、緩やかに下降していく人生。その中で、スリの村田の存在は大きかったはずだ。あの関係性も好き。公安と刑事部の衝突もバチバチで、本当に楽しく読める。忠の立ち位置がよく分からなかったが、新聞からテレビへ、変遷していく中での価値観の軋轢などは如実であった。奥田さんは、こういう作品も書けるのか。勉強家だなぁと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年9月14日
読了日 : 2016年9月13日
本棚登録日 : 2016年9月13日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする