三日月堂の「未来」が描かれる番外編だけども、三日月堂と弓子さんはなかなか出てきません。
三日月堂で作品を作った人達の1年後くらいのお話が暫く続きます。
最初の5編で三日月堂が皆に愛され、仕事も順調に回っている様子が伝わってきます。
サブタイトルになっている最後の「小さな折り紙」で、いきなり保育園児になった弓子さんの息子が登場します。
最初の2行でこの子は弓子さんの子だ!と感じました。
弓子さんと同じ保育園に通っており同じ先生もいます。
川越の街にすっかり溶け込んだ三日月堂で卒園の記念品を作る話なのですが、弓子さんが園児だった頃の回想場面で小さな折り紙が出てきます。
この折り紙にまつわるエピソードについては秘密ですが、ここで思わず涙する人はたくさんいたに違いありません。
大人ならそれが何か言葉で表せるのだけれど、子どもにとっては初めて襲ってきた感情に向き合うのは難しい。
そんな小さな弓子さんの気持ちを察することができる保育園の先生って凄いなとも思いました。
とうとう全6巻を読み終えてしまいましたが、どの話も気分が落ち着くいいシリーズでした。
----- 参考 -----
このシリーズ、子ども用にルビを追加した単行本が「活版印刷三日月堂 特装版」として発行されているのを知りました。
図書館用に発行したもので部数が少ないらしいので、書店で見かけることはないかもしれません。
「子供」という特別な時間に自分の本を読んでもらうこと――「特装版 活版印刷三日月堂」ほしおさなえさんインタビュー
https://note.com/poplar_bungei/n/n4bf8a4cef06b
- 感想投稿日 : 2020年8月20日
- 読了日 : 2020年8月20日
- 本棚登録日 : 2019年12月29日
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