月の満ち欠け

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本棚登録 : 1961
レビュー : 324
著者 :
nejidonさん 小説   読み終わった 

ブク友さんからのお薦めで7月15日に図書館でリクエスト。
今月の20日にようやく手元に届き、遅読の私が2日間で読了。
早い人なら半日もかけずに読み終えるだろう。
ページをめくる手を止めて考え込む場面など、ひとつもない。
それほどさらさらと読めるというのは、作者さんの確かな力量あってのものだろう。
とにかく読みやすい。
輪廻転生をテーマにした恋愛ファンタジーとでもいうのだろうか。
多少ミステリーの要素もあり。
割と使い古されたモチーフだが、情念に溺れず、かと言ってドライにも傾かず。
「どうなる?」と展開を予想させる精密なプロットと絶妙な筆致で、上手い作家さん
だなぁと感心しきり。

物語は「瑠璃」という女性の生まれ変わりを軸として進む。
ただこの女性が登場するのはお話が四分の一ほど進んでから。
生まれ変わりのおかげで四苦八苦&右往左往する家族(特に男性は被害者と言っても
良いほど)たちの方に、むしろ視点は多く当てられている。
また、「瑠璃」がそれほどまでに相手に思いを残して死んでしまったのは「不倫」
ゆえであり、その代償かと思うほど輪廻転生もなかなか首尾よくはいかない。
ここまで周囲を混乱させてまで転生したいのかと少々辟易もするが、登場する家族たちの
会話や回想から見えてくる細やかな心の機微が甘く切なくて、読みどころはこちらかと。

興味深いのは、三度の転生が全て幼い少女の身を通して行われること。
読み手としては、ここがもどかしいところ。
たぶんこうなるだろうという着地点だったが、不倫相手はすでに中高年の域。
対して、幼い少女である。この後の展開は・・相当辛くなりそうだ。
ただ、序盤から登場している「小山内」という男の、ラストのエピソードにはじわっと来た。
こちらを膨らませてもうひとつ書いてほしいくらいだ。

自分自身で言えば、輪廻転生などしたくないな。
他人の人生を乗っ取ってまで、自分の思いを遂げたくない。
満ち欠けする月のように生まれ変わるよりも、樹木のように穏やかに満足して生きたいと願う。

今回思いがけず直木賞受賞作品を読むことになってしまったが、それが妙に
恥ずかしくて(笑)読んだのは内緒にしようかと思ったほど。
でもお薦めしてくれたブク友さんを思い出し、感謝を込めてのレビュー。
本当に久々の「小説読み」は新鮮な体験だった。

レビュー投稿日
2017年8月26日
読了日
2017年8月26日
本棚登録日
2017年8月26日
18
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『月の満ち欠け』のレビューへのコメント

vilureefさん (2017年9月26日)

nejidonさん!!
まあ、何と言うことでしょう!
nejidonさんの本棚にはけっして並ぶことのないようなたぐいのレビューが!
ブク友さんて私のことですよね?
それなのに、今日までブクログ放置していて、ごめんなさいm(__)m

いやー、でもうれしいな(笑)
まさかまさか、読んでくださるなんて。
☆の評価はさておき、ページをめくる手が止まらなかったということは合格点かな(*^_^*)

>今回思いがけず直木賞受賞作品を読むことになってしまったが、それが妙に
恥ずかしくて(笑)読んだのは内緒にしようかと思ったほど。

いやいや、恥ずかしいなんておっしゃらず(笑)
とっても嬉しいです!!
長年nejidonさんをフォローしていらっしゃる方々はびっくりされたかもしれませんが(^_^;)

私こそ感謝です。
たまにしか顔を出さない私でも、ブクログに帰ってくればnejidonさんがいて、こうして素敵なレビューを残してくださる。
あー、嬉しい。
今日はいい日になりました!

nejidonさん (2017年9月26日)

vilureefさん、こんばんは♪
コメントありがとうございます。とっても嬉しいです!
はい、ブク友さんというのはvilureefさんのことですとも!!
予約を入れてから直木賞を受賞されて、かなり焦りました。
こりゃ、えらいこっちゃ!
そんな作品なら、別に私が読まんでもええんちゃう?他にもおるやろ!
でも心に決めたことなので、しっかり読ませていただきましたよ。
星の数はご覧のとおりですが、佐藤さんという作家さんの巧みさは
おおいに堪能させていただきましたよ=
あはは、そうですね。他のブク友さんはびっくりされたかもです・笑

いやいや、このレビューでvilureefさんにコメントをいただくなんて、
ものすごく恥ずかしいです。テレテレです、もう。
普段は手を出さないような作品も読むことが出来るって、ブクログならではですよね。
自分の世界が広がったようで、とっても新鮮な機会でした。
どうぞまた、面白い本に出会えたら教えてくださいね。

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