クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))

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レビュー : 197
制作 : E.L. Konigsburg  松永 ふみ子 
nejidonさん 児童書   読み終わった 

目次の次に現れるのはメトロポリタン美術館の内部図。
そしてお次は、「わたしの弁護士・サクソンバーグさま」という手紙。
手紙を書いたのはどうやら、モノクロの線画に描かれたフランクワイラーさんという老女らしい。
この老女の語りでお話が進む。
「読んで、理解してください」と結ばれた手紙の、この出だしだけで秘密めいている。
タイトルだけでも気を引くのに、一体どんな秘密が展開されるのか。
1967年に出された本だというのに、今も読み継がれている児童書の名著。

秘密を持つことは良くないことのように大方の人は教育されている。
でも本当はその逆で、秘密を持つだけで子どもは賢くなり、成長していく。
もちろんその秘密は、誰かのものを盗んだり壊したりすることではなく、自分で発見する喜びのこと。見出すことの幸福が、個の確立と成長に繋がり、結果として家族やコミュニティと上手く繋がる力にもなっていく。
作品の中で作者が何度も秘密の大切さを語っている点がとても重要で、日本のお話には決して登場しないタイプの話になっている。
何しろ家出の先はメトロポリタン美術館だもの。

12歳のクローディアは、何かに腹を立てて衝動的に家出したわけではない。
何かと不公平な毎日が退屈で、変わったことがしてみたかった。
用意周到に計画をたて、金銭面でしっかりした腕前の9歳の弟を伴って「家出に行く」。
タフなメンタルの持ち主が主人公のため、ワクワク・ハラハラ感はかなり少ない。
場面も、美術館内が大半。しかし、この美術館内で発見したものがすごかった。
さてふたりは、この美術品の秘密にどこまで迫れるか。
お話は、冒頭の手紙の差出人であるフランクワイラーさんに出会うところから、思いも寄らない結末へと導かれていく。

親があわてふためくという描写が一切ないところも興味深い。
家出という行為に与えている意味も日本とまるで違い、子どもの成長を見守る作者の愛を感じる。
一番面白いのは、頭が良くて理屈っぽく野心家のクローディアを、うまく現実的におさめたのがフランクワイラーさんであるというところ。
終盤のこの老女のセリフがとても味わい深く、ここだけ何度も読み返してしまった。
成長の傍らには賢明な大人がいるものなのね。こちらも、この夏ぜひどうぞ。

レビュー投稿日
2018年7月11日
読了日
2018年7月8日
本棚登録日
2018年7月11日
12
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