なつのいちにち

4.18
  • (116)
  • (59)
  • (64)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 601
レビュー : 123
nejidonさん 絵本・夏   読み終わった 

7,8年前に初めてこの本を見たとき、絵本もこんな時代になったのだなと、そう思った。
ビジュアル的に、とても素晴らしい絵本なんである。
誰もいない玄関と門から出るまでの真っ黒い縁取り。
静かでひんやりとした土間の気配が漂ってくる。
麦藁帽をかぶった男の子がひとり、虫取り網を持って家から出て行く場面だ。
海辺と田んぼと牛小屋の前を疾走し、神社の階段でひと休み。
「ハア ハア ハア」というカタカナの息遣いが、見開きで続く。
この子は、クワガタを捕りに行くのだ。
この間の、むっとするような濃い緑と青い青い夏空。
テントウムシ、トンボ、蛙、バッタ、カワセミ、セグロセキレイ、ツユクサ・・・

いよいよクワガタを捕るという場面は、今度はコマ割りで描かれる。
何度も失敗して、ようやく捕まえると今度は夕立だ。その爽快な達成感!

今や滅多に見られない、全身で力いっぱい遊ぶ、子供の夏の話。
疲れて帰る道にグミの実がなっていれば、すぐそれを口にほうりこんだ。
甘くて美味しかったはずなのに、今食べてみると何の味も無い。
そのとき私が分かったことは、あの頃は全身で味わっていたのだということ。
あの夏は、もう戻らない。
でもこの一冊の中にはしっかりと入っている。

帯にはこう書かれている。
【この本には少ししか文章がありません。あっという間に読めてしまいます。
でも、絵と物語をゆっくり追うことで、それぞれの人が知っている「夏の音」や「夏の空気」を感じてもらえたらいいなと思います】
おはなし会のスタートにも良いし、小さな男の子にはぜひ読んであげたい。
約4分。文にはない音やにおいや空気を、一緒に感じられたらいいなぁ。

レビュー投稿日
2013年7月29日
読了日
2013年7月29日
本棚登録日
2013年7月29日
13
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『なつのいちにち』のレビューをもっとみる

『なつのいちにち』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする