オーデュボンの祈り (新潮文庫)

3.82
  • (3989)
  • (4703)
  • (5087)
  • (596)
  • (129)
本棚登録 : 33600
レビュー : 3601
著者 :
nejidonさん 小説   読み終わった 

今をときめく伊坂幸太郎のデビュー作。
読もう読もうと思いつつ、他の本を先に読んでからなどと後回しに
してしまったことを後悔しつつ、それでも今年中に読めて良かった
と感動しつつ、ここに紹介します(前置き長いって!)。

ジャンルで言えばファンタジックなミステリーというところでしょう。
仙台から少し離れたところにある、100年以上も鎖国状態の荻島
に、コンビニ強盗に失敗して逃亡中の主人公が連れ去られて来る
ところから物語は始まります。
島で出会う奇想天外な人々には、全く度肝を抜かれます。
いつも反対のことしか言わない園山画家、
体重300キロのうさぎさん、島の規律として殺人を犯す桜という青年、
そして事件は「優午」という名の喋る案山子が殺されることから始ま
るのですが、この非常に知的な案山子が、長年島の羅針盤の役目
を果たしてきているのです。
未来を見通す力のあるはずの優午が何故自分の死を知らなかったのか、そこから追求は始まります。
更に、この島には足りないものがある、それは何だろう?と質問が繰り返されるたびに読者も荻島で立ちすくんでいるような気分にさせられます。

卓越した伏線張りと小粋な会話にあふれ、時折主人公の記憶に現れる亡くなった祖母の言葉、というのも意味深に響くのです。
シュールな世界観ながらも、優午との浮世離れしたやりとりと、主人公を追いかける警察官・城山の残忍性とのコントラストが読ませどころでもあります。
作者である伊坂氏の、弱者への言われのない暴力を否定する強烈な願いを込めた作品とも言えるでしょう。

この後の一連の作品にも、登場人物がリンクしているといいます。
最初に読んだのがこの本だったのは幸運だったかもしれません。
皆さんもぜひ、伊坂孝太郎の世界にオルグされてみませんか?

レビュー投稿日
2010年2月20日
読了日
2005年12月24日
本棚登録日
2005年12月24日
6
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『オーデュボンの祈り (新潮文庫)』のレビューをもっとみる

『オーデュボンの祈り (新潮文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする