映画「山のトムさん」を観たあとで、この本を読んでみた。
師、などと呼ぶのもおこがましくて恥ずかしい限り。
なので、永遠の憧れ、とでもいうことにしよう。
一冊丸ごと石井桃子さん。
その生涯と作品と文庫と折々の言葉が、豊富な写真とともに紹介されている。
素話でも絵本でも、この方の文章はなんとすんなりと心に入ってくることか。
読み手が「そう言って欲しかったのです」と思わず膝を打つような穏やかな言葉たちで、抵抗を感じる部分に出会ったことがない。その一点だけでも稀有な存在だと思われる。
石井桃子さんのことばとの出会いは、銀座・教文館のナルニア国の前で始まった。
そこに掲げられた言葉が、今の私を支えてくれている。
「 本は一生の友だち。
本は友だち。一生の友だち。子ども時代に友だちになる本。
そして大人になって友だちになる本。
本の友だちは一生その人と共にある。
こうして生涯話し合える本と出合えた人は、しあわせである。」
出会いから5年後の2008年4月、101歳で亡くなられた石井桃子さん。
お会いしたこともないのに、何だかとてつもなく大きなものを失った気がして、しばし茫然とした。その足跡を精一杯追うことで今の日々がある。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ 評論
- 感想投稿日 : 2019年5月2日
- 読了日 : 2019年5月1日
- 本棚登録日 : 2019年5月2日
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