きいろいばけつ (あかね幼年どうわ (33))

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制作 : つちだ よしはる 
nejidonさん 絵本・通年   読み終わった 

そんな、まさか・・幼年童話で泣くなんて。
ところが、そのまさかの事態が起きたのだ。
ラスト、72ページ目で涙がぶわっと出てしまい、その後は何も読めなくなってしまった。

小2の教科書にも採り上げられているし、夏の課題図書にもなったことがあるので、
ご存知の方も多いかもしれない。
きつねの子が丸木橋のたもとで偶然見つけた黄色いバケツ。
誰の忘れ物だろう?
前からこんなバケツが欲しかったきつねの子は、うさぎとくまに相談して、落とし主が現れるまで一週間待つことにする。。。

ああ、そういえばこんな気持ちになったことがあるな、と誰しもが思うことだろう。
欲しくてたまらないものが、いつか自分のものになった時のことを想像してうっとりする。
月曜日、火曜日、と過ぎていく時間が、子どもにとってはどんなに長かったことか。
でもきつねの子は、その間がそれは幸せだったのだ。
雨が降れば心配で見に行き、汚れたらきれいにして、時に話しかけ、中に溜まった水に映る月を眺め、棒切れで自分の名前を書く練習までする。
次の月曜日には自分のものになるかもしれない。どうかそうなりますように。
あてのない夢を描き続けるきつねの子が、たまらなく愛おしい。

それだけに、自分のものにはならないと分かったときの、きつねの子の言葉にも驚く。
この子は、待ち続ける一週間に、しっかり心が成長したのだ。
どれほどの思いを込めてバケツと過ごしてきたか。
愛情をかけた分だけ悔しがっても構わないのに。
きっとこの子にとって、黄色いバケツのことは宝物のように心に残るだろう。

童話とはいえ75ページもあり、すべての見開きページに挿絵が描かれている。
このお話しにはこの挿絵以外あり得ないと思うほど可愛い絵だ。
ためらいや戸惑い、恥ずかしがる顔やどきどきする嬉しさ、どれもストレートに伝わってくる。
起承転結もきっちりとしているので、小2でなくても読み聞かせに出来るだろう。
約15分。5,6歳からOKかな。
子どもの頃に抱いた待つことの喜びと憧れを、はるかな気持ちで思い出す幼年童話の傑作。

レビュー投稿日
2013年8月27日
読了日
2013年8月27日
本棚登録日
2013年8月27日
8
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