未読の方のためにあらかじめお話しておくが、父子家庭のお話である。
知らずに読むと、中途から涙がこぼれてしまうので、ご注意を。
いや、知ってから再読してもやはり涙が出る。
お話はすべて小学生のお兄ちゃんの話し言葉で語られ、それも柔らかい関西弁(大阪弁)なのだ。
お父さんとふたりの子の満面の笑顔だらけで、挿絵があまりにも明るいため何も気が付かずに読み出してしまった。
何しろ表紙だけ見て、ウルトラマンの話かとワクワクしたくらい。
絵本の世界では登場回数の少ない父親だが、この作品では父親とふたりの息子たちの関係がとても良く描かれている。
残念なことに私の読みでは、大阪弁の独特の味わいが出ない。
そちらの地域にお住まいの方にはぜひ。
お話は、宿題が「星の観察」だったので、家族で星を見に行くところから始まる。
そこで、星の光が届くまでには何年もの時間がかかることを知った男の子が、ある発想を抱く。
その発想が、これがもう泣けるんである。
読み手としては、ここではじめてお母さんが亡くなっている家庭だと知ることになる。
でも、お話の登場人物たちは泣いていない。
たぶん、涙なんてとっくに出尽くして、今は一生懸命前を向いて歩いているんだろう。
そのけなげさで、また泣けてしまう。
裏表紙には3人家族が乗っているロケットが出てくる。
こんなロケットが出来るといいよね。頑張れ、と思わず応援してしまう、素敵なお話。
約8分。高学年向けかな。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
絵本・秋
- 感想投稿日 : 2013年12月2日
- 読了日 : 2013年11月25日
- 本棚登録日 : 2013年11月28日
みんなの感想をみる