原子力ムラの陰謀: 機密ファイルが暴く闇

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nekosaburoさん ノンフィクション 社会 原発   読み終わった 

 もんじゅの事故の内部調査を命じられた後、極めて不自然な状況で「自殺」をした西村成生、その西村氏の残した膨大な内部資料を読み解き、原子力ムラの闇を暴いた労作です。「これが証拠だ」と、手書きを含む当時の秘密文書そのものが多数掲載されています。人形峠のウラン採掘から危険で無益な高速増殖炉もんじゅ、ひいては福島原発の大爆発までが1本の線で繋がり、あの爆発が起こるべくして起こった人災であることが明確にわかります。
 原子力ムラ住人のやり方は徹底していますが、この「住人」の中に国も何もみんな入っているのが日本の姿なのでしょう。例えば、93年、NHKが「プルトニウム大国・日本」というドキュメンタリーを放送した際、「雑誌、新聞等のマスコミや有識者を用いたNHKへの反論や、寄稿、投稿、電話によるNHKへの対抗手段をお願い」したのは、現在は文部科学省に統合されている科学技術庁でした。とにかく、人の命など歯牙にもかけない、ここまで腐っているのかという原子力ムラの実態は、想像を超えていました。
 西村成生氏が原子力ムラによって命を奪われたことは間違いありませんが、その死が追いつめられて自ら選んだものなのか、文字通り殺されたのかがわかるまではと、自らも原子力関係者であった妻のトシ子氏は、夫の遺骨を未だ埋葬していません。
 罪の意識を感じる能力すらもう残っていないらしい原子力ムラの住人には、この本は邪魔なだけであり、理解もできないでしょうが、事実に基づいて自分の考えを持とうと思っている人には、是非読んで、その後の自分の行動に役立ててほしい貴重なルポです。
 余談ですが、93年、国を挙げての執拗なやらせ工作にNHKは抵抗しました。
 現在の変わり果てた姿が無残です。

レビュー投稿日
2016年8月15日
読了日
-
本棚登録日
2016年8月15日
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