地の底のヤマ

  • 講談社 (2011年12月1日発売)
4.10
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本棚登録 : 205
感想 : 34
4

863P...二段組。...長かった。九州大牟田の
三池炭坑を舞台にしたある警察官の半生と
その街そのものを描いた大作。
ここまでの自分の中の西村作品を大きく
覆す作品で読み応えは勿論、ズシリとした
楔をうつ作品。

昭和35年から40年の時間を順を追って
丁寧に、主人公「鉄男」の警察官としての人生、
そして人間としての葛藤、苦悩、闇、喜び全てを
内包した人生そのものを矛盾も含んだまま、
丁寧に描いています。さらには炭坑街としての
大牟田という街の背景にある過去から現在が
大きなウネリを持って、書かれているところが
今作の重みになっているのかもしれません。

「鉄男」の刑事として関わった事件、そして
その父にして街の伝説的な刑事の死の真相。
ミステリとしても読ませる、有無を言わさぬ
力強さに溢れてます。登場人物も膨大な数ですが
ほとんど混乱せずに読ませる、配置と力量が光ります。
特に、「オッチャン」と「ヒカッしゃん」なる脇役は
西村氏ならではのキャラクターで涙を誘う。

ただ、主人公「鉄男」という人間の持つ弱さや矛盾。
逆に強さや正義感。その両方があまりに混沌と人間臭く
小説の主人公としては感情移入しくい面もあるかもです。
が....自分は充分にこの作品世界に浸りました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内作家な〜
感想投稿日 : 2013年2月6日
読了日 : 2013年2月6日
本棚登録日 : 2013年2月6日

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