詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)

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本棚登録 : 751
レビュー : 101
著者 :
newtongakuinさん 国語   読み終わった 

おもに中高生を対象にした岩波ジュニア新書は現在613冊刊行されていますが(2009年2月現在)、その9冊目に当たるのがこの本です。名著です。詩人茨木のり子が忘れがたいよい詩をセレクトし、その魅力を語ります。ここには彼女じしんの詩はひとつも出てきません。この本の趣旨を彼女は次のように書いています。

「あらためて私の好きな詩を、ためつすがめつ眺めてみよう、なぜ好きか、なぜ良いか、なぜ私のたからものなのか、それをできるだけ検証してみよう、大事なコレクションのよってきたるところを、情熱こめてるる語ろう」・・・「はじめに」より

そこに紹介されている詩の素晴らしさについては、また別に記したいところです。名著である所以は彼女のしなやかでていねいな言葉にこそあります。誠実な自己省察に貫かれた芯のある言葉にこそあります。詩人の言葉がこれほどまでに素敵であるとは! 私は時に急いで本を読み進めようとすることがあります。茨木のり子の文章は、そんな私の姿勢をおだやかに叱り飛ばしてくれているようです。

日常生活の時間とは全くちがう文学的な時の流れというものが確かにあると思います。そのことを私は忘れていました。そのことを忘れていた自分に気づいたことをうれしく思います。私は同じページを何度も読み直しました。こころにつきささるフレーズを口ずさんでもみました。すると彼女の打つ読点までが意味をもって立ち上がってくるように感じました。言葉の力というものは実際あるものなのですね。新鮮な驚きを与えてくれる本です。

「…汚いものでも十分詩になり、詩語という特別なものは何もなく、ふだんの言葉が昇格するだけで、詩の美しさは結局それを書いた人間が上等かどうかが、極秘の鍵をにぎっている…」

うーむ。政治家に聞かせてやりたいことばです。

レビュー投稿日
2013年3月25日
読了日
-
本棚登録日
2013年3月25日
2
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